2017年07月21日

「あがり屋」方式

「カフェ 明治屋」の改装は、天井や梁・柱の古色塗りがやっと終わった。客席用の3室とレジカウンターの1室、それに玄関土間を、それぞれ1日から2日、都合1週間以上かけて仕上げた。脚立に乗って天井を塗っていく作業はとにかく疲れた。ふうー。 

  

つぎはいよいよ山場の漆喰塗りである。しかし、その前に説明しなければならないことがある。もともと、改装の本丸は客席部分のフローリングのはずだった。「カフェ 明治屋」は内外観ともに和の古民家だが、カフェに改装するにあたって、モダンですっきりした雰囲気にしたかった。となると、理想をいえば床は無垢のフローリングで、当然、靴のまま上がれるカフェにしようと思っていた。 

  

ところが、物件探しのときにお世話になった、ある不動産屋さんにこの話をすると、その人は畳敷きの客席を想像していたらしく、「靴のまま上がるのはどうですかね」という。「明治屋」もそうだが、古民家の和室は概して天井が低い。とくに、鴨居は身長168センチのわたしでもぎりぎり通れる高さしかない。靴を履いたままだとヒールの分だけ目の位置が高くなるから、圧迫感があるのだという。それよりも、畳敷きにしてイス、テーブルもやや低めにしたほうがいいのではないかと提案された。 

  

そして、参考までに訪れてはどうかといわれたのが、うちからクルマで10分ほどのところにある蕎麦屋「無哀荘 真金堂」だ。この蕎麦屋さんの建物は蒜山地方から移築した築150年を超える茅葺き屋根の古民家で、なかは畳敷き。ローチェアー、ローテーブルを配して、とてもいい感じの店内だ。畳敷きも悪くないな、いや、畳敷きのほうがいいかも、と思わせるものだった。 

無哀荘
「無哀荘 真金堂」の店内。落ち着ける雰囲気だ。


内外装工事の見積もりを頼んでいた業者さんにそのことを知らせると、畳替えをして本畳にするのもいいけれど、カフェなどの飲食店の場合、「たたみシート」を使う手もあるという。これは畳表の色・形状を模したビニルシートで、居酒屋や飲食店の座布団席でよく用いられているものである。飲料などをこぼしても畳より処理が楽で、何より本畳よりコストが安い。本畳の感触も捨てがたく迷ったが、結局、「たたみシート」の工事をお願いすることにした。
 

  

というわけで、二転三転、無垢のフローリングはやめ、客席は「たたみシート」とローチェアー、ローテーブルでいくことにした。床張り工事を自分たちでやるつもりだったわたしたちは、正直、ほっとした。ネットでいろいろ調べていたが、床張りは下地工事から始まってなかなか骨が折れそうなのだ。自分たちでやって、収拾がつかなくなる恐れもあった。 

  

いまから30年ほど前、わたしが小学生の甥っ子と暮らしていたころ、近所に「あがり屋」と子供たちが呼ぶ店があった。ふつうの民家が小遣い稼ぎに駄菓子屋をやっており、客の子供たちは玄関で靴を脱いで上がるから「あがり屋」だそうだ。「カフェ 明治屋」も玄関土間で靴を脱いで上がってもらおう。靴と一緒にもろもろのストレスも脱いでもらう店をめざそう。 



y1_tokita at 19:19|PermalinkComments(1)カフェ