2021年12月03日
コンピューターは間違えない?
わたしの母は、わたしが高校に入ったころから10年ほど富士銀行(現みずほ銀行)熊本寮(独身男性寮)の住み込みの寮母をしていた。わたしもくっついて寮で生活していた。その後、わたしは東京の大学に入学するために単身、上京したが、寮で暮らした4年ほどは、若い行員と一緒に食事などをすることもあり、よく記憶に残っている。
東京で学費を払うために銀行口座をつくることになったとき、わたしは当たり前のように大学に近い渋谷の富士銀行に口座を開設した。以来、学費にかぎらずバイト代の出し入れ、勤めるようになってからは給与の振り込み、公共料金の引き落としなどの決済口座として、残高はつねに少額ながら40年以上、この口座を使っている。
その「みずほ銀行」は今年(2021年)2月から3月にかけて大規模なシステム障害を起こした。さいわい、わたしに実害はなかったが、人によってはキャッシュカードや通帳がATMに入ったまま出なくなってしまった。銀行は後日(!)、それらを持ち主に返したそうだが、急ぎのお金を必要としていた人はたまったものではない。あとあと送られてきたお詫びの金券どころですむ話ではない。
この件で思い出したのが、もう10年以上前になるが、わたしが東京・大塚の出版社に勤めていたころの話である。給料日にお金を引き出そうと「みずほ銀行」の新大塚駅前出張所に出向いた。ここはATMが何台か並ぶ、行員のいない出張所だ。ATMを操作していると、急に機械がフリーズした。「取り消し」をタッチしても反応がない。キャッシュカードが入ったままだが、どうしようもない。焦って脇の直通電話で事情を説明すると、応対した男性が言うには、「お客さんが何か誤った操作をされたんじゃないですか。コンピューターが間違えるはずがない」。
わたしが、たとえば暗証番号を何度も間違えるなどしたと思い込んでいる節が見え見えだ。こちらは何も間違っていない、普通に操作していただけだと怒鳴るように説明したが聞く耳持たず。「身分証明書を持って口座をつくった支店に行ってください」の一点張りである。仕方がないので、仕事中だったがその足ですぐに渋谷支店に向かった。キャッシュカードを作り直し、なんとか事なきを得た。そこでも事情を説明したが、「そうですか」と他人事である。
後日、くだんの新大塚駅前出張所の前を通りかかると、わたしをひどい目に合わせたATMには「故障中」の張り紙がしてあった。やっぱり機械(コンピューター)のトラブルだったのだ。しかし、それが判明しても、わたしには詫び状の一通もない。そもそも、大塚―渋谷間だから山手線に乗って20分ほどで口座開設支店に行くことができたが、これが岡山だったらどうするのか。岡山から東京の渋谷までカードを作り直しに行けというのか。
富士銀行(みずほ銀行)にはお世話になったから、あまり言いたくはないのだが、小口の利用者に対する大柄な態度は今も昔も変わらないようである。