2021年09月22日
倉敷・真備町を訪れる
3年前の2018年6月から7月にかけて、日本は記録的な大雨に襲われた。西日本豪雨(平成30年7月豪雨)である。このとき、「カフェ明治屋」のすぐ裏手にある干田川も目測で氾濫まであと1メートルほどに増水した。この時の顛末は、前にこのブログに書いた通りである。
「カフェ明治屋」の被害は、ちょっとした雨漏り程度ですんだが、この豪雨は岡山県内のあちこちに大きな爪痕を残した。とくに被害が大きかったのが倉敷市の真備町で、高さ5メートルを超す浸水に襲われ地区の3割が水没、約5,500戸が全半壊した。真備町の犠牲者は、災害関連死を除いても51人にのぼる(県全体では災害関連死を含めて95名が死亡、3名が行方不明)。
この店の復活の様子は、地元のテレビなどでたびたび報じられていた。お店のファンも含むと思われるボランティアが、めちゃくちゃになった店内の後片づけに精を出した。店の再建までのあいだ、店主ご夫婦は軽トラを改造したキッチンカーによる移動販売で自慢のコーヒーを提供していた。
やっとのことで2019年5月、店の再建が叶う。どんなにうれしかったことだろう。しかし、翌2020年からは、ご承知の通り世界が新型コロナウイルスの脅威にさらされる。「ごじとま」の店主ご夫妻にとってこの3年は、想像もできないような苦難の連続だったろう。西日本豪雨のときにあと一歩で水没したかもしれず、新型コロナに苦しめられているわたしたち夫婦にとっては他人事ではない。
わたしたちは、吉備真備駅近くの、やはり西日本豪雨で被災し、移転オープンした「手打ちうどん さるや」(ここの麺は絶品!)で昼食をとったのち、「ごじとま」を尋ねた。注文したのは「ごじとまブレンドコーヒー」とケーキだ。「ごじとまブレンド」は、香り高く味に深みがあり、文句なしにおいしかった。大型スピーカーからほどよい音量で流れるジャズを聴きながらコーヒーとケーキを堪能し、つくづく来てよかったと思った。
ことし41年目の「ごじとま」。どうか50年、60年と続いてほしい。「ごじとま」は真備町再建のシンボルでもあるのだから。