2017年03月26日

振り返れば「一目惚れ」

移住先の地域は岡山県の南東部とおおよそ決まった。しかし、「これだ!」という物件が見つからない。わたしと妻は、ときに閑谷学校や牛窓オリーブ園などの観光地に寄って、地域の観光資源の情報を収集ながら家探しを続けた。 
 

閑谷学校

閑谷学校では、運が良ければボランティアのガイドさんが案内してくれる。

牛窓オリーブ園

牛窓オリーブ園では、おみやげにオリーブ・オイルを買って帰った。

当たり前だが、自分が住もうという家を探すときには、足を運んで物件の隅々まで確かめなくてはならない。それも、日をかえて複数回、訪れたほうがいい。都市部では、賃貸物件をネットで検索して、内見をせず決めてしまう人もいるそうだが、それはやめたほうがいい。実際にその土地、その建物内に身を置いてみてはじめてわかることがあるからである。  

 

「空が開けている」「風通しがいい」「通行するクルマの振動が意外と伝わる」「部屋の空気が淀んでいる」これらは、実際に現地に行ってみないとわからない。そして、これらの良い(悪い)感じというのは、些細なことのように見えて、「ここに住みたい」と思うかどうかに決定的にかかわることがある。一目で「これだ!」とならなくても、「何となくいい感じ」が、しだいに「この物件しかない!」になることもあるのだ。 

 

わたしたちの場合がそうだった。三十数軒見て回って候補に残ったのは、備前市の海沿いの物件と最終的に購入を決めた物件(明治屋)の2つ。前者はそこそこ交通量のある県道に面し、近くに漁協の市場や金融機関の支店もあって、カフェを営業するうえでの条件も悪くなさそうだった。 

 

わたしは「どうしてもこっち」という確信が得られぬまま、カフェの営業を考えて前者にしようかと思っていたのだが、妻はどうしても明治屋がいいと言う。いままで見てきた中で「何となくいい感じ」がするのは、この物件だけだというのである。そう言われたら否はない。 

 

店の営業上の利点より何より、まず自分たちがそこに住みたいと思うかどうかが第一だ人にも「この場所いいでしょ」と言えるような場所をカフェとして提供すること。それが最上の選択である 

 

緑の丘と川に挟まれ、お寺の前に佇む一軒家。四方が開け、川沿いのお隣は川岸の公園の先、100メートルほど行ったところ。何より空が広い。明治築の古民家は窓の桟まで木製の造り、古風な丸瓦の屋根、倉庫にまで施された焼き板の壁――すべてが、わたしたちのために用意されているように思えてきた。 

 

こうして、わたしたちの半年に及ぶ家探しは一件落着した。もちろん、移住はまだ第一歩も踏み出していないのだが。 



y1_tokita at 16:41│Comments(0)TrackBack(0)移住 

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