2017年04月

2017年04月30日

16回目の引っ越し

やっと引っ越しが終わった。まだ、とても一息つける状態とはいえないが、移住の第一歩を踏み出したという感はある。 

自宅前で
記念に自宅(明治屋)玄関前で一枚。朝日がまぶしい。

数えてみると、物心ついてから住んできた家は、この「明治屋」で17軒目だ。つまり、16回引っ越したことになる。別に引っ越しが好きだからというわけではなく、その時々のやむを得ない事情があってのことだ。引っ越し作業自体は、何度やってもうんざりする。億劫でなかったのは、結婚して二人の生活をはじめたときだけである。 

  

今回は、東京から岡山へという遠距離の引っ越しである。424()に引っ越し業者のトラックに家財一式を載せ、途中、JRのコンテナに積み替えてもらい、27()に現地で荷下ろし。足かけ4日である。わたしたちは、24日は東京の家の近くに宿を取り、25日は東名高速を一路西へ。京都に一泊し、26日には岡山の移住地の近くに泊まった。わが愛車poloでの約650キロのドライブだった。 

  

これまでの引っ越しでは、「らくらくパック」などと呼ばれる荷造りサービスを利用したこともあるが、今回は、料金を少しでも安くするために、梱包はすべて自分たちでやることにした。これが大変だった。持って行くものと捨てるものを選別し、部屋別・品目別・重要度別に段ボール箱に梱包していくのだが、捨てるべきか残すべきか、悩み出したらきりがない。よその家と比べて持ち物は少ないほうだと思っていたが、がらくたの多さにも辟易した。 

  

引っ越しで要領よく梱包するにはコツがいる。そのコツを飲み込むのは、やっと、梱包作業が終わるころだ。そして、次の引っ越しのときには、そのコツもすっかり忘れている。前回の引っ越しから7年半経つわたしもそうだが、たいていの人にとっては、引っ越しはそうしょっちゅうあるイベントではない。「引っ越しは忘れたころにやってくる」から、毎回、初心者に戻って手間取るのだ。あー疲れた。 

2階の梁
2階の梁。曲がった太い幹をそのまま使ってある。

まだ何をどの箱に詰めたのか、開けてみなければわからないものがたくさんある。まずはいま必要なものを探し出し、自分たちの日常生活が支障なく営めるようにしなければ・・・。ちなみに妻は、昨日から「しゃもじ」を探しているが、まだ発見できていない。 

  

というようなことを言いつつ、ついつい古い瓦屋根を眺めるために外に出たり、2階に上がって立派な梁を見上げたりしている自分がいる。いまは、しばし「移住第一歩」の感慨に浸ることを許されよ。 



y1_tokita at 16:51|PermalinkComments(3)TrackBack(0)移住 

2017年04月23日

さらば愛しの東京ひばりヶ丘

東京を去るにあたって、ここ数年、週末には必ずといっていいほど通っている「ひばりヶ丘」について記しておきたい。わたしの住まいは東京・小平市にあり、吉祥寺にもひばりヶ丘にもクルマでそれぞれ20分程度である。吉祥寺にもよく行くが、吉祥寺の情報はあふれんばかりにあるので、ここではひばりヶ丘の「名店」2軒を紹介しよう。 

 

まずは、そば屋の「たなか」である。「たなか」は、ひばりヶ丘の駅から歩いて数分、住宅街の中にある。看板が掛かっていなければ普通の住宅にしか見えないだろう。しかし、ここのそばが絶品。そばの瑞々しさといいコシといい、わたしが知る中では、長野・戸隠の「うずら家」と双璧をなす。 

たなか
「たなか」は住宅街の中にひっそりとたたずむ名店だ。


ここは天ぷらもうまい。わたしと妻は、舞茸の天ぷらをよく頼むが、揚げたての天ぷらは、ごま油の香りも良く、さっくり仕上がっている。「たなか」の御膳せいろと舞茸の天ぷらは、夏場の食欲が落ちているときでも、体調が優れないときでもすんなり入るし、胃にもたれない。しかも、その御膳せいろが一枚540円(税込)である。申し訳ないような気持ちになってしまう。90歳を超えるご主人がこれからも元気に店を切り盛りされることを願わずにいられない。 

この「たなか」は、料理評論家の山本益博氏も絶賛しているし、雑誌やグルメ本などでも紹介されているので、ご存じの方もいたかもしれないが、もう一軒は、正真正銘、隠れた名店だろう。「イットクベーカリー」というパン屋さんである。
 

イットクベーカリー
「イットクベーカリー」のパンは、まじめにパンを作るとこうなるというお手本のようなものだと思う。


この店は、ひばりヶ丘駅から南へ、バス通り沿いに歩いて10分ほど行ったところにある。たまたま店の前をクルマで通りかかったときに気になったので寄ってみたのがきっかけだったと思う。ここのパンはどれもおいしい。いちじくとクルミのパン、クルミとサツマイモのパンなどは、具がこれでもか、というほどに入っている。クロワッサンは、食べると皿の回りが飛び散った欠片だらけになるほどサックサク。とどめは「イットクおすすめパン」であるガーリックフィセルとフィセルバター(細めのバゲット)(ともに税込220円)。外側はほどよく硬く、なかはしっかり粘り気がある。噛むほどに味わい深い。これを知ってから、わが家のウィークデーの朝食は、決まって「イットク」のパンである。 

「イットクベーカリー」は善良を絵に描いたようなご夫婦が経営していらっしゃるのも魅力の一つ。良心的な値付けと親切な接客に、こちらが恐れ入ってしまうほどだ。ただ、週末などは早めに行かないと売り切れになってしまうこともあるからご注意を。
 

 

東京に未練はないが、「たなか」と「イットクベーカリー」に行けなくなるのがつらい。新天地で新しい「名店」を見つけよう。そして、業種は違えど、「カフェ 明治屋」が「たなか」や「イットクベーカリー」のようにたくさんの人に愛される店になるようにしなければ。 



y1_tokita at 18:33|PermalinkComments(1)TrackBack(0)移住 

2017年04月16日

わたくし的東京のカフェ今昔(その2)

学生時代、ろくに勉強もせずに最寄り駅や大学の近くの喫茶店で無為な(しかし、人生にとっては恐らく必要な)時間を過ごした 

 

その後、働き出したころから、「珈琲館」などのコーヒー専門店によく行くようになりブレンドだけでなく、生意気にモカなどのストレートも注文するようになった。町中にセルフのドトールコーヒー」があれよあれよという間に増えていったのはそのころである待ち時間なく提供されるため、朝の出社前や昼休みの食後にぴったりだ。というわけで、わたしもサラリーマン時代の大半の平日は「ドトール通い」である。もっとも、「ドトール」のホットコーヒーはいまひとつ好きになれなくて、たいていアイスコーヒーなのだが  


くすの樹

「珈琲館 くすの樹」では、わたしの好みはストロングコーヒー。モーニングサービスもいい。

ちなみに前回の資料総務省統計局「事業所統計調査報告書」)によると、喫茶店はその後、漸減し、2014年(平成26年)には69,983個所にまで減っている。ピーク時の半分以下である。個人経営の店がセルフサービスのチェーン店に押されて減っているという面もあるのだろう。実際、東京には、「ドトールコーヒー」をはじめ、「スターバックス」や「タリーズコーヒー」といったセルフカフェがあちこちにある。「都心などでは(セルフスタイルカフェの)店舗数が飽和状態に近づいており、競合が激化している」(モーニングスターウィークエンド特集らしい  

アイムホーム
「アイムホーム」はランチが充実している。ノスタルジックな雑貨も販売。


ただ、都心を離れると事情は違う。わたしの家(東京都小平市)の近所では、数年前、「コメダ珈琲店」や「星乃珈琲店」ができてにぎわっている。わたしも週末の朝などによく使う。駐車場付のフルサービス喫茶店は、クルマで出かける際に寄りやすく、席もセルフサービスの店に比べてややゆったりしていてくつろげる。中高年受けもよさそうだから、これからも増えるだろう。 

木亭
「民芸茶房 木亭」は、秩父の温泉宿への行き帰りには必ずといっていいほど寄る。


しかし、やっぱりカフェ・喫茶店は個人の店がいい。クルマで出かけたときなど、ところどころにある個性的なカフェに寄るのが楽しみだ。わたしが好きなカフェは、近所でいえば重厚な造りが目を引く小金井公園そばの「珈琲館 くすの樹」、手作りのインテリアやガーデニングが楽しい青梅のアイムホームや内装に趣のある秩父の「民芸茶房 木亭」だ。ドライブルートを考えるとき、頭の中で自然と立ち寄り地点に入れていたりする  

  

カフェ 明治屋」も、みなさんにそう思われる店になるようがんばらねば  



y1_tokita at 15:10|PermalinkComments(0)TrackBack(0)カフェ 

2017年04月09日

わたくし的東京のカフェ今昔(その1)

カフェの話のついでに、わたしのカフェ体験を記しておきたい。といっても、カフェ(や喫茶店)の情報を収集したり、あちこちに行ってみたりしてるわけではない。ごく普通に東京(およびその近郊)で生活してきた一個人の感想である。 

 

わたしが上京した1979年(昭和54年)ごろは、喫茶店の全盛期だった。調べてみると、喫茶店の事業所数は、1975年(昭和50年)の92,137個所から1981年(昭和56年)には154,630個所とうなぎ上りに増加しピークを迎える(資料総務省統計局「事業所統計調査報告書」全日本コーヒー協会のホームページより 


喫茶店

カフェでは何かをするというよりも、店内や窓の外をボーっと眺めているのが好きだ。

大学に入学したわたしが住んだのは、埼玉県志木市の学生寮だったが、志木駅近くに、その名も「四季」という小さな喫茶店があった。志木で四季。あまりにベタな命名だが、そのお陰でいまでも名前を覚えている。わたしは、よく、その店のモーニング・サービスを利用した。たしか300円しないぐらいでコーヒーとトースト、それにゆで卵がついていたように記憶している。  

 

そこのコーヒーが、「お鍋コーヒー」だったこともはっきり覚えている。一度に多めのコーヒーを淹れておき、注文があったら一杯ずつ「お鍋」で沸かして供するのである。まだ世間知らずのわたしも、さすがに「ちょっとなぁ」と思ったものだ。まあ、ママさんが笑顔で出せば許されるというか、おおらかな時代だったのだろう。 

 

当時はいまと違って、個人経営の個性的な店が多かった。そのぶん、コーヒーの味は千差万別だった看板の下にKEY COFFEEと書いてある店はうまいんだ」と友だちに教えられた(?)のはそのころだ。全盛期は過ぎていたが、ジャズ喫茶などの音楽喫茶も流行っていた。わたしも新宿のDUGに行ったことがあるが、通うというほどではなかった。 

 

名前は忘れたが、大学の近くにあった喫茶店も思い出深い。日当たりのいいしゃれた店で、大学の講義(ときには試験!)をさぼっては、専攻とは関係のない本を広げて読むともなく暇を潰していた。いま思えば何の悩みがあったのかも覚えていないが、とにかく現状に満足がいかず、もがいていた記憶がある。苦いコーヒーである。調べてみると、その店はもう跡形もない。東京の町の移り変わりは激しいのである。 

 

そういえば、最近、大学のキャンパスの近くにあまりカフェ・喫茶店を見ないような気がする。学生がまじめになり(忙しくなり?)寄り道をしなくなったのか、構内にカフェスペースができて必要がなくなったのか知らないが、少し寂しい気がする 

 

カフェ、食堂、雀荘などなどからなる「門前町」を含めて大学という別世界があったころが懐かしい 



y1_tokita at 15:35|PermalinkComments(0)TrackBack(0)カフェ 

2017年04月02日

長居したくなるカフェ

コーヒーが好きで、一日に2回はカフェに寄る。家でも、起き抜けに豆をガリガリと挽いてコーヒーを淹れている。休みの日なら、午後にもう1回だ。 

 

コーヒーのある時間が好きだ。本を読みながら、あるいは音楽を聴きながらのコーヒー・ブレークは、何物にも代え難い。ちなみに音楽は、ジャズ、とくにピアノ・トリオ(ピアノ、ベース、ドラム)にとどめを刺す。といっても、全然詳しくないし、ただBGMとして流しているだけだが 


カップコーヒー

コーヒーはゆっくり飲む。だから、冷めてもおいしいコーヒーが好きだ。

一方、わたしの妻は、料理全般、とくにお菓子作りが好きだ。以前からケーキなどを二人では食べきれないくらい作っては、勤め先に持って行ったりしていた  

 

そんな二人が、地方に移住しようとなったとき、カフェの開業を思い立ったのは自然なことだった。どちらからともなく言い出したように思う。「香り高いコーヒーとおいしいケーキの店」というわけである 

 

こういう話をすると、「ふつうは、そうなったらいいねという夢の話で終わるよね」と言われそうだが、わたしたちにとっては、カフェ開業は最初から「夢」ではなくて「現実」の話だった。会社を辞めて地方へ行く。「会社勤めは、できればもうしたくない」と思っているわたしたちにとって、カフェをしながら生きていくことは超リアルな選択だったのだ 

 

甘い」という人もいるだろう。そうかもしれない。「無謀」と思う人もいるだろう。さもありなん。でも人生時には好きなこと、やりたいことを思い切ってやってみてもいいのではないだろうか。いずれにしろ、結果はわたしたちが引き受けることになるのだから。 

 

カフェ明治屋は、内装もメニューもまったくこれからだが、わがままついでにコンセプトを一つ考えている。「わたし自身が長居したいと思えるカフェ」である自分がこの地方に住んでいたら通いたいと思えるカフェ、居心地がいいからついつい長居してしまうカフェが理想だ 

 

そんなカフェできるかどうかわからないし、そもそもわたしと同じような趣味の人がどれほどいるかまったく未知数なのだけれど 



y1_tokita at 15:42|PermalinkComments(1)TrackBack(0)カフェ | 移住