2017年09月
2017年09月26日
あこがれのフローリング
妻が獅子奮迅の活躍でイス、テーブルを組み立てているころ、わたしは自宅プライベート部分の床張り作業にいそしんでいた。前にも記したが、もともとは客席の床も自分たちで無垢材を張るつもりだった。しかし、技術的な問題、予算の都合、そしてフローリングではなく畳(たたみシート)を選択したことによって、客席の床は工務店に任せることになった。
張り合わせを確認し、床板の裏にボンドを塗る。
それをネットで取り寄せ、これまたネットの事例をまねて見よう見まねで張っていく。失敗しても見てくれが少々悪くても、どうせ自分たちの部屋だと思うと少しは気が楽だが、慣れない作業で疲れる。2~3列も張り終えたころには、ほんとうに部屋全体を張れるのだろうかと途方に暮れるのだった。しかし、これからの人生の困難を考えれば、これしきのことで音を上げているわけにはいかない(大げさだが)。とりあえず、目の前の1枚、1枚に集中する。
張り終えてみると、全体で54列(108枚)、1列で15カ所にクギを打つから、打ったクギの数は約800本になった。ふうー、疲れた。無垢材のフローリングを自分たちでやってみてわかったが、客席の床張りを自分たちでやっていたら、おそらく挫折していただろう。畳(たたみシート)にしたほうがいいと助言してくれた人たちにあらためて感謝である。
2017年09月21日
イス、テーブルも自分たちで
相変わらず店の内外装の整備、備品の購入など、「カフェ 明治屋」の開店に向けた準備に追われている。その際、気をつけなければならないことはいろいろあるが、いちばん大事なことの一つは客席の居心地である。落ち着かない客席ではリピーターは増えないだろう。古民家を生かした内装は、素人仕事ながら自分たちでなんとか整えた(床など、プロの手も借りたが)。あとは、くつろげるイスとテーブルが重要なポイントになる。
イスとテーブルは、最初は中古でそろえるつもりだった。しかし、ネットで調べてみると、なかなかわたしたちの趣味に合ったものがない。それにイスにしても20脚というようなオーダーになると、そうそう同じものがそろわない。また、東京あたりからここ岡山まで取り寄せるとなると、運送料だけでもかなりの額になりそうだ。
中古はうまくいかない、新品は(わたしたちには)高い・・・頭を悩ませていたとき、浮かんだのが組み立て家具だ。内装も自分たちでやったのだから、家具も自分たちで組み立ててしまおうというわけである。リーズナブルな組み立て家具なら、コーヒーカップのところでも登場したIKEAだ。IKEA通いを重ねて自分たちの目と感触で品定めをし、テーブル7卓、イス20脚、ソファ2脚を配送してもらった。
できあがったイス、テーブルを客席に並べてみる。なんだか広いダイニングか小さなレストランのようだが悪くない。ここが、わたしたちがお客様を迎える場所だ。目に前にそれが現れると、また一歩、夢の実現に近づいたというわくわくする気持ちと「大丈夫だろうか」という不安感とがないまぜになるのだった。
2017年09月17日
チームA
このブログの初回にも書いたとおり、古民家に移住したわたしたちはおもに自分たちで改装してカフェを始めるつもりである。しかし、素人ではどうしても手を出せない、あるいは無理な作業もある。電気工事や水道工事、駐車場をつくるためのブロック塀の撤去などである。
そのなかで唯一、A社の見積額がわたしたちの希望金額に近かった。対応や説明も悪くない。わたしたちはA社に工事を依頼し、ほぼ1カ月にわたる工事となった。はじまってみると、さすがに業者の仕事は手際がいい。みるみる作業が進んでいく。それにもまして感心したのは、A社の社員同士はもちろん、外注の業者さんも含めて互いに手助けし合っていることである。チームとしていい雰囲気なのだ。
畳をあげて床の下地をつくり・・・
作業に来る人たちはみな個性的だった。30歳を超えたばかりでA社を率いるHさん(社長)は、自ら率先して作業をするまめな人で、どこか飄々としたところがある。その片腕で大工仕事が得意なKさんは寡黙な仕事人。Kさんの弟で「イケメン君」の愛称がある彼氏は、しかし、力仕事や炎天下の仕事もいとわないがんばり屋。Hさんの義理の弟氏は、細かなことを何でも引き受ける真面目くん。年長のOさんは、重機を操らせると縦横無尽な、しかし腰の低い人。
社員ではないが、電気工事のEさんは仕事がていねいで、一日の終わりには自分が作業したところ以外も掃除をするきれい好き。ほかにも、気のいい親父といった風の床・クロス業者さん、「わたしに任せなさい」と言われたような安心感のある水道工事屋さん、長年の経験が顔に表れている建具屋さん、人当たりのいい看板屋さん・・・みな、フレンドリーで、そして、いい仕事をしてくれた。
結果として、A社に頼んでよかった。チーム一丸となって、「カフェ 明治屋」の実現に向けて力を貸してくれた。A社の人たちを含めてだろう。「こっちに来てから、人に恵まれてるね」という妻の一言が、わたしたち二人の正直な気持ちを表している。
【追伸】
A社こと株式会社アドバンスAのホームページで「カフェ 明治屋」が紹介されています。
2017年09月11日
役所が面倒くさいわけ
「これで検査終了です。いつでも開業できます」この一言を待っていた。いやー、ほっとした。「カフェ 明治屋」が保健所の検査に合格したのだ。飲食店の開業に保健所の許可がいるのは常識だが、それを得るには何が必要か、一般にはあまり知られていない。わたしたちも知らなかった。ところが、じつはこれがなかなか大変なのだ。
まず、自宅で飲食店を営業する場合、店舗部分と住宅部分の区分をはっきりさせ、店舗の厨房とは別に自宅用の台所を設けなければならない。つまり、台所が2つ要るのだ。
つぎに、店舗の厨房には調理用とは別に手洗い用のシンクが必要。2槽シンクが要るということだ。厨房は扉で仕切られていなければならないし、その床は、家庭の台所で一般的な合板のフローリングなどではだめで、水で洗い流せるコンクリートやリノリウムなどでなければならない。
これだけで、ふつうの住宅を飲食店に変えるのがいかに大変かがわかると思う。実際、この検査を知って開業をあきらめた人も多いらしい。「カフェ 明治屋」でも保健所対策の改装に費用がかかって大変だった。
この保健所のハードルは、しかも全国一律ではなく自治体によって微妙に高低があるという。3槽シンクでなければダメという自治体もあるらしいし、厨房全体の壁が水をはじくものでなければOKがでないところもあるらしい。さらに、保健所の担当者によってもさじ加減が変わるらしいから事前の予測や準備がむずかしい。
さいわい、「カフェ 明治屋」を担当してくれた人はフレンドリーで、相談に行ったときに説明してくれた注意点を守って改修したら無事に検査をパスすることができた。しかし、実際に合格といわれるまでは気が気ではなかった。
移住してからは、当然ながら役所に行く用が多くなった。転入・保険年金などの変更手続きで市役所に行ったのはもちろんのこと、土地登記手続きで法務局、クルマの登記(ナンバープレート交換)で警察署、陸運局、個人事業主の開業手続きで税務署、県庁、失業保険関係で職業安定所、そして保健所・・・。時間はあるのだからと、どれも人任せにせず自分でやったからそれなりに大変だった。
役所が面倒なのは、いろいろ理由はあるが、ひとつには、どの役所も自分たちが管掌する領域が社会にとって非常に重要だといいたいがために、個々の手続きがとても複雑かつ厳密になっているせいだと思う。役人はその分野だけを担当するからいいが、一般市民はそのすべてに付き合わなくてはならないから面倒なことになる。税務関係などを会社がやってくれるサラリーマンがいかに楽か、脱サラしてしみじみ感じている。
2017年09月06日
キャンプの神様(その2)
今年もキャンプに行ってきた。さすがに岡山から長野の戸隠キャンプ場まで行くのは遠すぎるから、県内で探し、蒜山高原キャンプ場にした。蒜山高原は、県北・真庭市にある標高500メートルほどの国立公園で、蒜山三座を望む大草原が広がっている。
蒜山高原キャンプ場は、それなりにあちこちのキャンプ場を知っているわたしから見ても、とても整備が行き届いているところだった。各区画には余裕の駐車スペースと真っ平らにならされた広いテントサイトがあり、トイレ棟(もちろん水洗)や炊事棟も立派なものが適宜配置されている。全般にメンテナンスがとてもいい。
わたしたちは、雑木林に隣接したサイトを指定され、さっそくテントを設営した。天気は晴れから曇りに。設営時に天気がもってくれたのはありがたい。設営が終わったらコーヒーを淹れ、タープ(生活の場用の広いテント)の下でチェアに腰かけ一息。「キャンプに来てよかった」とまず思うひとときである。
しかし、その夜から翌日にかけては、本降りの雨となった。雨もまた自然現象、と受け入れるしかないが、年季の入ったタープが雨漏りを起こし、全身が結構濡れてしまったのは誤算だった。タープには、しばらく前に撥水スプレーをかけておいたのだが、もう効かなくなってしまったようだ。買い替え時だ。
そんなアクシデントがありながらも、今回もキャンプを満喫できた。森のなか、大地に直接足をつけて暮らす。空は夏空。気温は暑くもなく寒くもなくちょうどいい。そして、キャンプの醍醐味は何といってもバーベキューと焚火だ。バーベキューでは、わが家の定番はスペアリブとラムチョップなのだが、今回はラムチョップが手に入らず、タンを塩で食べた。いつも思うが、自然のなかで食べるとなぜこんなにおいしいのだろう。
焚火はキャンプのメインイベントだ。これをやるためにキャンプに行くという人もいるくらいだが、わたしたちは、少なくとも焚火をしたくなる気温の場所へわざわざ行く、とはいえるだろう。火を見ながらボーっとしているだけで心が落ち着く。ヒトが何万年前から火を使うようになったのか知らないが、おそらくそのころに培われた本能なのだろう。
今回のキャンプでの一番の心配事は、撤収日の天気だった。撤収の日に雨に降られると、テントやタープなどを濡れたままクルマに積み、後日、広げて干さなければならなくなる。ヘタをすると、クルマのなかがカビだらけになる(わたしにはその経験がある)。当日の予報は雨だったが、おおむね曇り、撤収が終わるころには日が射していた。キャンプの神様は、今回も微笑んでくれた(帰ってきてみたらブヨに刺されていたというオマケは付いたが)。