2017年12月

2017年12月29日

カフェの時間割(その2)

午後1時過ぎ、ランチのお客さんの波が引くころに、やっと一息つく。ここから妻は「洗い物地獄」に立ち向かい始める。遅めのお客さんに食後の飲み物を出すと、そろそろ2時だ。 

  

200から閉店まではスイーツの時間だ。遅めに食事をとり、食後にスイーツを注文するお客さんもいる。スイーツ・タイムは、お客さんはぱらぱらと見える程度なので、わたしは様子を見ながら妻が洗った物をかたづけたりして厨房の手伝いをする。この間に、妻がつくってくれたおにぎりで簡単な昼食。そうこうするうちに530のラストオーダーの時間。ここでお客さんがいなければ閉店となる。 

午後5時半
午後5時半。ラストオーダーの時間だ。お客さんがいなければ、ここで閉店。お疲れさま。


立て看板とのれんをしまい閉店。厨房に向かい、本日
2度目の、そしてより心のこもった「お疲れさま」である。わたしは「おしぼり」を洗濯機に放り込み、一息入れて、ふたりで本日の売り上げの精算をする。売り上げの振れ幅が大きいので、毎日が一喜一憂である。 

  

それはともかく、ここからまだたくさんの仕事が待っている。仕事をかたづけてからと思うと夕飯などがいつになるかわからない。そこで、わたしたちの生活の基本である「風呂」「めし」は優先することにした。夕方以降のわたしのスケジュールはこんな感じだ。 

600 風呂を沸かす。 

630 入浴。 

700 客席の掃除。 

730 翌日の「おしぼり」の準備(洗って脱水した「おしぼり」を湯に浸し、1枚ずつチェックしながら畳み丸めてホットキャビに入れる)。 

800 夕飯 

830 夕飯のかたづけ。つづけて業務用炊飯釜、お米ネット、電子ジャーの洗浄。 

900 翌日のコメの準備 

930 わたしの作業場のかたづけと準備。翌日のランチメニューをフェイスブックにアップ。立て看板も書き換え。 

というわけで、一日の仕事が終わるのは夜10時前後である。この間、妻は翌日のランチの仕込みやスイーツの製作に追われている。妻のほうがやることが多く、終わるのは11時、12時になることもざらだ。 

  

ふうー疲れた。一日の作業終了。居間に移動してソファーに体を沈めると、たちまち睡魔が襲ってくる。もう寝よう。明日も5時起きだ。 

  

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y1_tokita at 09:18|PermalinkComments(1)カフェ 

2017年12月25日

カフェの時間割(その1)

カフェをオープンする前の1日のタイムスケジュールについては、以前、「『自由業』の時間割」と題して記した。あのころは呑気だった。カフェ開業という大きな目標はあったが、その日にしなければならないことが決まっているわけではない。好きな時間に休み、何だったら「早仕舞い」することもできた。 

ストーブ
この季節、朝起きてすぐに客席のストーブを点けるのも日課だ。


それに対してカフェをオープンしてからは、営業時間がきっちり決まっている。午前
7時から午後6時(ラストオーダーは午後5時半)である。11時間ある。これは長い。夫婦ふたりで朝7時開店、夕方6時までやっているというと、たいていの人が「長いですね」という。自分でも長いと思うが、朝が早いこの地方に合わせてモーニングサービスを開始し、夕方、早めの帰宅をしようとする人がちょっと寄れる時間まで営業するとなるとどうしてもこうなる。 

  

というわけで、わたしたちは朝5時起きである。そこから開店までのわたしのタイムスケジュールはきっちり決まっている。 

510 コーヒーを淹れる。 

520 ふたりでコーヒーを飲む。 

530 朝食の準備。 

540 朝食。 

550 かたづけ。 

600 着替え・洗面。 

630 開店準備(レジの用意、テーブル拭き、玄関掃除など)。 

700 開店。 

ここから1000まではモーニングサービスのお客さんへの対応となるが、途中、コメに混ぜる十六穀を水に浸けたり、炊飯をしたりするのは私の役目である。妻はその間、モーニングサービスの調理に中断されながらランチの仕込みに猫の手も借りたい状態だ。 

  

そして1130からランチタイムとなる。日によっては、11時すぎから席でランチを待っているお客さんもいる。ここから1330ころまでは戦争状態だ。わたしは接客、配膳・かたづけ、飲み物の製作、会計に追われる。こういうときは、まさに11秒が惜しい。わたしはもともと「せっかち」の「のんびり屋」だが、そんなことは言っていられない。コーヒーが蒸れるまでの30秒で砂糖とクリームを整えてテーブルに届ける。紅茶を淹れている3分でお客さんが帰ったテーブルをかたづける。つねに手足と頭をフル回転だ。 

  

その間、厨房の妻はわたし以上に大車輪だ。7卓しかないカフェで注文票が6枚も並ぶこともあるが、妻はひとつずつ迅速かつ着実にこなしていく。そこは「段取りの人」。わたしは絶対の信頼を置いている。1300をすぎ、ランチ客の波が引いていくころになると、やっと一息つける。わたしは厨房に顔を出し、わたしたちはこの日初めての「お疲れさま」を言い合う。わたしがつくったアイスコーヒーで乾杯するのが日課だ。しかし、まだ一日の後半戦が残っている。 



y1_tokita at 08:21|PermalinkComments(1)カフェ 

2017年12月21日

モーニングの習慣がない!?

「カフェ明治屋」は午前7時開店である。そして、7時から10時まではモーニングサービスを実施している。コーヒーの料金(440円)でトーストとゆで卵、それにちょっとしたサラダをつけるサービスだ。このトーストモーニングのほかに、ハムチーズトーストモーニング(680円)、フレンチトーストモーニング(680円)もある。 

モーニングサービス看板
モーニングの常連客を増やさねば。


わたしたちはこのモーニングサービスに
110人くらいのお客さんを見込んでいた。たしかに、開店当初は10人近いお客さんがみえた日もある。ところが、オープンして3週間もすると、モーニングサービスのお客さんが激減した。日によってはゼロである。これには驚いたし、少し焦った。 

  

ある人にこのことを話すと、「このあたりには朝ご飯を外で食べる習慣がないからなぁ」と言われてしまった。たしかに、地元の人たちは都会のサラリーマンほど朝食を外食しないだろう。しかし、前にも記したように、朝6時半から営業してにぎわっている喫茶店もあるし、幹線道路沿いでは朝6時のオープン前にお客さんが店の前で待っているところもあるらしい。 

  

モーニングサービスを利用してくれたあるお客さんの話では、「みんな通勤はクルマで、朝はコンビニで買ってクルマの中で食べる人が多い。でも、コンビニの朝食も、なんやかんやで400500円かかるから、それならお店で席に座って食べるほうがいい」そうなのだが。 

  

たしかに、「カフェ明治屋」は駅前や幹線道路沿いに立地しているわけではない。そういう意味では、朝から「わざわざ」寄るところである。朝食を自宅でとる人を店にひきつけるのは難しいだろうが、コンビニ食で済ませている人を呼び込むことはできるかもしれない。「わざわざ」寄り道してでも「カフェ明治屋」で朝食をとりたいと思ってもらうにはどうしたいいか。とにかく、多くの人に「カフェ明治屋」のモーニングサービスを一度試してもらわないことには話が進まない。さて、どうしたものやら。 



y1_tokita at 10:21|PermalinkComments(3)カフェ 

2017年12月17日

パン屋とそば屋

東京にいたころ、自宅から近いひばりヶ丘の行きつけのそば屋とパン屋について以前書いた。そこに、「東京に未練はないが、(行きつけの店に)行けなくなるのがつらい。新天地で新しい『名店』を見つけよう」と記した。 

  

そして、そば屋とパン屋についていえば、見つけた。まずはそば屋。牛窓の高台にある「ちょい蕎麦庵」という店だ。関西・香川に近く、うどん文化圏の岡山にあって、江戸東京のそばの味を提供している。そばは一日限定20食で売り切れ御免。11時半開店だが、12時ころまでに行かないとなくなる恐れがある。 

ちょい蕎麦庵
「ちょい蕎麦庵」は、こぢんまりした店だが、落ち着ける。


席に着いて注文すると、まず揚げ蕎麦が出される。カリカリのスナック菓子のようで手が止まらない。つづいて先付け。かまぼこや漬物など
4品ほどが並ぶ。そばはざるそばのみで、日によって変わるが、東北地方などから取り寄せたもの23種から選ぶ。腰があって野趣に富むもの、白くて繊細なものなどそれぞれに特徴がありどれも絶品である。薬味はワサビではなく辛味大根で、これは、ひばりヶ丘の「たなか」と同じだ。このざるそばが1600円、お代わり400円という安さに驚く。 

オぷスト
「オぷスト」は、店の看板からして手作りだ。


パン屋はひょんなことから見つかった。前に紹介したカフェユクリで食べたサンドイッチのパンがおいしかったので、妻がお店の方にどこのパンか訊いたら、「オぷスト」だと教えてくれた。調べると、同じ長船町内にある小さなパン屋である。天然酵母パンと焼き菓子の店とある。さっそく、わたしたちはここのパンを試してみた。ここの山型食パンは粘り気が強く、わりとしっかりしている。焼くと香ばしく、表面はカリッとした仕上がりになる。わたしたちは二人とも、ここのパンが気に入った。それからは、わたしたちの朝食は必ず「オぷスト」のパンである。
 

  

そばとパン。わたしたちが好きなものの「名店」が新天地で見つかってよかった。そしてパンについていえば、わたしたち二人が食べているだけではない。「カフェ明治屋」のモーニングサービスのパンは「オぷスト」の天然酵母パンである。 



y1_tokita at 10:22|PermalinkComments(1)瀬戸内暮らし | 移住

2017年12月13日

飲食業は「ガテン系」?

わたしたちは東京にいたころ勤め人だった。ふたりとも学校を出ると出版系の会社に就職し、その後、何度か転職した。わたしは新聞記者のような仕事をしたこともあるが、おもに書籍や雑誌の編集の仕事をしてきた。妻は結婚したころを境に出版を離れ、情報処理関係の会社に勤めたりしていたが、長かったのは最後まで勤めたクリニックの管理部の仕事だった。 

コーヒー作業台
コーヒーを淹れる作業台。ここがわたしの仕事場だ。


要するに、ふたりともデスクワークが中心の仕事をしてきた。飲食業はもちろん、接客や調理の仕事をしたことはない。そんなふたりが無謀にもカフェを始めたのだから、仕事の仕方は
180度転換した。飲食業が「ガテン系」というと聞こえが悪いが、デスクワークに比べれば立ち仕事、体を動かす仕事が中心になる。肉体労働という面が大きい。それは一長一短あって、体は疲れるが、一日の仕事が終わったあと、お互いに「お疲れさま」と心から言える。自分に対して、「今日も一日、よく働いた」と心から思える。 

  

書籍や雑誌の編集という仕事は著者と読者をつなぐ役回りだが、著者は見えても読者はなかなか見えない。それに対して、カフェの仕事はお客様と直接向き合うことになる。工場などで品質改善のために「次工程はお客様」というキャッチフレーズを用いるところがあったが、飲食の小さな店では「次工程」もへったくれもない。調理したものはすぐにお客様の口に運ばれるし、接客はお客様と直接対面する真剣勝負だ。そのぶん、「おいしかった」と言われたり、「ありがとう」と声をかけられたりすると「この仕事を選んでよかった」と思う。 

  

「ガテン系」の仕事をしていると、生活はシンプルになる。体を使ってしっかり働き、動いた分がっつり食べ、疲れた夜はぐっすり眠る。わたしは少しずつ、この生活に慣れてきた。そして、こういうシンプルな生活が心地良く思えてきた。もっとも、わたしより仕事の量が多く、夜、床に就くのも遅くなりがちな妻は、いつも朝から「眠いよー」と睡眠不足を訴えている。疲れたぶん深く眠れる人とそうでない人がいる。 



y1_tokita at 19:54|PermalinkComments(1)カフェ