2018年04月
2018年04月28日
移住1周年!
岡山・瀬戸内市に移住して1年が経った。あっという間だった気もするし、まだ1年しか経っていないのか、という気もする。季節が一巡し、町内会や地域の行事もひととおり経験したので、少しはこの地のことがわかってきた。まだほんの少しだけれど。
移住1年の率直な感想を一言でいえば、「移住してよかった」である。何がよかったか。わたしの場合、「終の棲家が見つかった」ということに尽きる。「棲家」とは家にかぎらない。どの地方に住むかということも含む。さらに、もっと広い意味にもとれる。移住して感じることだが、これまでの東京での生活では、心のどこかで「今ではないいつか、ここではないどこか」での暮らしを思い描きながら生きてきたように思う。しかし、移住してからの生活には「今、ここ」しかない。これから先、人生の終末までをここで生きる。「いま生きている」という実感を日々、得ることが人生の目的になる。そういう意味では、遠くを浮遊していた「心」の「棲家」が見つかったといえるだろう。
築109年の「カフェ明治屋」の住み心地は、といえば、真冬の回に書いたように、冬は底冷えがする。あちこちが少しずつ歪んでいて隙間風が吹き込む。夏は涼しいかといえば、開け放っていた昔と違って、いまは締め切ってエアコンを入れるから、やはり気密性の問題がある。エアコンが効きにくいのである。それでも昔の家には味があるし、何より自分たちで改装したことですでにして深い愛着がある。
都市部との距離感もいい。「カフェ明治屋」は岡山市の中心部からクルマで約30分。途中、渋滞していても40分あれば着く。何かの用で市街地へ行くのにちょうどいい距離だ。電車でも長船駅―岡山駅間は30分くらいだから通勤・通学にちょうどいい。
それでいて瀬戸内市には豊かな自然がある。「カフェ明治屋」から周りを見渡せば、広い空と遠くの山々、そして田んぼや畑である。クルマで20分も走れば「日本のエーゲ海」とも言われる牛窓に着く。瀬戸内海と島々の景色は、いつ見ても飽きない。
この地の人々も、新参者のわたしたちに親切に接してくれた。岡山の県民性として、(災害が少ないから?)協力し合わないという人もいるが、わたしが見るところ、「わが道を行く」という人が多いようだ。だから、人にもあまり干渉しない。何事も「郷に入っては郷に従え」だが、ここではあまり「ああしろ、こうしろ」と言われることはない。でも、教えを請えばていねいに教えてくれるので、わたしたちは大いに助かっている。
と、瀬戸内市のいいところを書いてきたが、移住した人にとって移住地はどこでも「住めば都」だろう。あれこれ考えるよりも、移住してしまえば、1年後にはわたしたちのように「ここ以外にはありえない」と思えるようになるのではないだろうか。
2018年04月24日
おいしいコーヒーをどうぞ(その2)
「うまい!」
おいしいコーヒーを飲むと、思わず心の中でうなってしまう。酒ではないが、五臓六腑にしみわたる感じがする。ところが、そういうコーヒーにはなかなか行き当たらない。わたしが思うに、「残念なコーヒー」が「残念」な理由の第一は、使うコーヒー豆の量が少なすぎるのではないだろうか。コーヒー豆は、1杯あたりコーヒー用のメジャースプーンに山盛り1杯を使ってほしい。これは9~10グラムになる。1杯だけ淹れるときは量を増やしてメジャースプーンで1杯半、13~14グラムは使いたい。マイルドなコーヒー、あっさりしたコーヒーにしたい場合でも豆はこの量で、味は豆の銘柄で調節すべきだと思う。
と、偉そうなことを書いたが、わたしはコーヒーの専門家でも何でもない。ただコーヒーが好きで、自分の味覚を信じて試行錯誤してきただけである。コーヒーはかくあるべし、こう淹れるべし、という情報は出版物でもネットの世界でもあまたあるが、わたしは上で述べた豆の量さえ守れば、あとは自由でいいと思う。自分がおいしいと思う豆を使い、気に入った淹れ方をすればいい。
さて、移住して岡山でもいろいろなカフェに行ったが、おいしいコーヒーを出す店として一番に思い浮かぶのは日生の「カフェ・マルベリー」だ。ここはベーグルがおいしい店として前に紹介したが、コーヒーも大変おいしかった。というか、わたし(とわたしの妻)の口に合っていた。前にも書いたように定休日が「カフェ明治屋」と重なるのでなかなか行けないが、機会を見つけてまた行きたいと思う。
この店は手作り感満載のログキャビンで、冬には薪ストーブを焚いている。外から見るより中の雰囲気はいい。場所は、片上鉄道が廃線になったあとにつくられた「片鉄ロマン街道」(サイクリングロード)沿いで、国道374号線が国道484号線と交わる交差点の近く。意外なところにいい店があった。
コーヒーがおいしい店は、どこも真摯にコーヒーと向き合っている店だ。手抜きをする、端折る、豆をケチるというようなことをしたら、途端に味に表れる。「カフェ明治屋」のコーヒーも、ひとりでも多くの人に「おいしい」と言ってもらえるよう真面目に淹れ続けよう。
2018年04月20日
おいしいコーヒーをどうぞ(その1)
とにかくコーヒーが好きなことは前にも書いた。世の中、わたしのようなコーヒー好きがいるかと思えば、子供にかぎらずコーヒーは苦手という人もいる。コーヒーを飲むと体調が悪くなるという人もいるし、いまだかつてコーヒーをおいしいと思ったことがないという人もいる。コーヒーは嗜好品だから飲めなくてもまったく困らないし、それぞれが好きな飲み物を飲めばいいと思う。
では、コーヒー好きはなぜコーヒーの虜になるのか。それがよくわからない。かつてタレーランはコーヒーを評して「悪魔のように黒く、地獄のように熱く、天使のように純粋で、恋のように甘い」と言った。この甘さは砂糖のものらしいが、ブラックでもコーヒーには甘さがある。コーヒーのテイスターは10種類近い基準でコーヒーの味を評価するらしいが、そこまでいかなくても、苦み、甘み、酸味などの要素が感じ取れる。そして香り。香りも味を決める重要な要素だ。コーヒーは、それらが絶妙に混ざり合って飲む人に快感を催させるとしか言いようがない。
コーヒーにもいろいろあるが、わたし(とわたしの妻)はコクがあり、しっかりとした味のコーヒーが好みだ。東京でもそれなりにあちこちで飲んできたが、こういうコーヒーは意外と少ない。わたし好みのコーヒーを出す店といえば、もちろん、「コクテール堂」だ。直営のカフェは神奈川県内に2軒と、東京では二子玉川、国分寺にある。わたしはかつての自宅(小平市)から近かったので国分寺店に行ったことがある。JR国分寺駅の駅ビル8階にあり、眼下に武蔵野の街並みを眺めながらおいしいコーヒーを楽しむことができる。
東京(都下。東京西部)の店をもう1軒。青梅街道沿いにある「マンモスコーヒー」。わたしはいつもクルマで行っていたが、西武新宿線の上石神井駅から歩いても行けるらしい。ここは自家焙煎の店で、豆の販売・卸をおこなっている。カフェはこぢんまりしておりシンプルな内装だ。ここのストロングタイプのコーヒーもわたしの好みだ。以前、コクテール堂に注文し忘れたときなどにはここで豆を買っていた。
2018年04月16日
日生のカフェでまったり
「カフェ明治屋」がある瀬戸内市のお隣・備前市の日生(ひなせ)については、以前、「みっちゃん」のカキオコを紹介した際に触れた。日生は漁港のある小さな町で、「五味の市」という日生町漁協の市場に行ったことがあるが、殻付きの牡蠣を山と積んで売っていた。
そんな日生には最近、おしゃれなカフェ、おいしいカフェが増えている。わたしたちが日生のカフェでまず訪れたのは、隣の鮮魚店直営という異色の店「café 晴風船」だ。日生漁港で水揚げされた魚を中心にした料理で「本日の煮付けランチ」や「海鮮月見丼」などを出している。わたしたちが行ったときには、お客さんは幅広い年齢層の女性がほとんどだった。舌の肥えた地元の主婦層をも唸らせる魚料理というわけだ。
漁港の町、牡蠣の町である日生は、ほんとうに海産物が豊富だ。「カフェ明治屋」からはクルマで30~40分で行けるので、休みの日のランチをとりに出かけるのにちょうどいい。まだ行ったことのないカフェもたくさんあるので、これからも勉強がてら日生のカフェ巡りをしよう。
2018年04月12日
「開かずの金庫」事件
わたしたち夫婦には子供がいないが、別に子供が嫌いというわけではない。その逆である。子供を見ているのは楽しい。見ている分には楽しいが、親御さんはさぞかし大変だろうとも思う。
昨年(2017年)、岡山・総社市のカフェが「子供入店拒否」の張り紙をして話題になった。ここは和風のカフェで、畳敷きの部屋に障子がある。この障子紙をだれか(小さい子供と思われる)がびりびりと破き、しかも店側に申し出がなかったことから、店主が0歳児を除く未就学児の入店を拒否する事態になった。
これには賛否両論、いろいろな意見が出たが、わたしはこの場合、仕方がないと思う。この店は「カフェ明治屋」と同じように夫婦二人だけでやっているそうで、子供の行動をつねに見ている余裕はなさそうだ。悪いのは子供ではなく大人(親)なのだが、外見ではどの程度のモラルを持った大人なのかの判断がつかない。いきおい、子供(を連れた大人)の入店拒否ということになる。いまはキッズカフェといった子連れ専門のカフェもあちこちにあるから、いたずらっ子の親も行くところに困ることはないだろう。
さて、「カフェ明治屋」はお子さん大歓迎である。ソファー席を用意したのも、お年寄りや小さいお子さんを連れたご家族のためである。ランチなどの予約は、基本的にこのソファー席にかぎっているが、それもお子さん連れの便を考えてのことである。ソファー席の脇には襖がある。これを破られたら、まぁ、仕方がないと思うしかない。
前にも記したように、「カフェ明治屋」には未就学児へのサービスもある。お店のシンボルである古い大きな金庫のなかの「宝物」をプレゼントするのだ。このサービスは好評だ。先日も3歳くらいの男の子に「金庫のなかのいいものをあげるからね」と声をかけ、お父さんと一緒に金庫の前に来てもらった。その子は目を輝かせている。「開けるからね」と言って金庫を見ると、おやっ、取っ手がロックされている。手をかけてみると、何と、回らない。ダイヤル錠が掛かっているのだ。これには焦った。金庫はいつも開けた状態にしていたのに。
金庫はその日のうちに開錠したが、その子がいるあいだには間に合わなかった。金庫の取っ手はかなり重いから、わたしがいつもプレゼントをあげている小さな子供では回せないだろう。そのうえ、ダイヤル錠は右に1目盛りだけ動かしてあった。大人のいたずらとしか思えない。施錠して、開かなくなったらどうするつもりだったのだろう。そんなこと考えないか。
「カフェ明治屋」の場合、「大人は金庫に近づかないでください」という張り紙が必要かもしれない。