2019年06月

2019年06月26日

インダストリーのパン

ある定休日の朝。その日はとくに予定がなかったので、「『珈琲と人』さんにでも、ランチを食べに行こうか」と言うと、妻は「どうせ総社にまで行くなら『インダストリー』に行ってみたい」と言う。 

  

「インダストリー」というのは、東総社駅前にある岡山では有名なパン屋である。ハード系のパンがおいしいことで有名だが、「行列ができるパン屋」としても知られている。ファンが多く、いつも混み合っているらしい。わたしも行ってみたいと思っていたので、その日の目的地はインダストリーに決定した。 

  

最近知ったのだが、岡山県人はパン好きである。たしかに人口のわりにパン屋の数が多いような気がするし、地元のタウン誌やテレビのローカル番組では、よく「おいしいパン屋」特集を組んでいる。世帯別のパン消費量では、意外なことに京都府がトップだが、岡山県は堂々の第3位である(ちなみに、第2位は兵庫県。関西・中国地方にパン好きが多いようだ)。 

インダストリー01
「インダストリー」のローストビーフサンド。ローストビーフは自家製らしい。


そんな岡山県にあって、インダストリーは
12を争う人気店だ。もともと知られた店だったが、人気に火がついたのは昨年(2018年)放送されたテレビのローカル番組「プロ100人に聞きました 岡山のパン屋さんベスト10」で1位に選ばれたことがきっかけらしい。パン屋さんがおいしいと思うパン屋なら間違いないということだろう。わたしの妻も名前は聞いていたらしいが、「珈琲と人」でランチを食べたとき、「今日のパンはインダストリーです」と言われて出されたパンがすごくおいしくて、行ってみたいと思うようになったそうだ。 

インダストリー02
「インダストリー」の入り口。行列ができていることが多い。


さて、インダストリーに出かけたその日、お昼前の
11時ころに着くと店内のショーケースの前にはすでに行列ができていた。20分ほど待って順番到来。この店はケーキ屋さんのような対面販売で、1つひとつ注文していく。わたしたちは、ランチに用にローストビーフサンド、あんこバター、ホットサンド、チョコクロワッサン、それに持ち帰り用のバゲットをお願いした。 

  

店の2階はイートインコーナーになっている。わたしたちは、ここでドリンクをテイクアウト用にしてもらい(2,000円分以上購入するとワンドリンクサービスなのだ)、近くの公園でランチにした。 

  

パンはどれもおいしかったが、とくに自家製ローストビーフを使ったサンドが秀逸だった。バゲットは家で冷凍保存し、まかないのお供にしたが、香ばしく、生地の味が良くて「さすがに人気店だけのことはある」と思わせた。 

  

パン屋もいろいろ。わたしたちは、近くのオぷスト」さんのパンが気に入って店のモーニングサービスで使わせてもらっているが、同じ山型食パン、同じバゲットでも店によってまったく違う。岡山のパン屋めぐりというのも面白いかもしれない。

 



y1_tokita at 05:00|PermalinkComments(0)瀬戸内暮らし 

2019年06月20日

日本一の駄菓子売場

わたしが小学校に上がる前、わたしたち家族は駄菓子屋を兼ねた食料品店の目の前に住んでいた。ある朝、母は姉に小銭を渡し、「これでお昼にパンでも食べていなさい」と言って働きに出かけた。さて、昼になると、わたしは姉に「ボクが買ってくる」と言い張り、「サカイさん」と呼ばれていたその店に行った。パンを買わなければいけないのだが、どうしても駄菓子やおもちゃに目移りする。あれこれ迷った末にわたしが買ったのはゴム動力の飛行機だった。姉にこっぴどく叱られたのは言うまでもない。 

だがし売り場01
「日本一の駄菓子売場」外観。大きな倉庫そのものだ。


こんなことを思い出したのは、ずいぶん久しぶりに駄菓子屋に行ったからである。駄菓子屋といっても多くの人がイメージしがちな、おじいさんやおばあさんが店番をしている小さな店ではない。その名も「日本一の駄菓子売場」である。最初にこの店を知ったのは、長船駅の近くにある小さめの看板だった。この先に「日本一の駄菓子売場」がある、と表示してある。「日本一?」「こんな田舎に?」と思ったのを覚えている。
 

だがし売り場02
「日本一の駄菓子売場」の中。とにかく広い。

その後、「カフェ明治屋」から牛窓方面へクルマを走らせていると、その店はあった。造りはトラックを直接つけられる倉庫そのものである。中に入ってみると、たしかに広い。その広い売り場いっぱいに駄菓子が並んでいる。商品は子供でも手が届く低い位置にあり、しかもその一つ一つに「¥
10」などと記したシールが貼ってある。子供が予算内であれこれ選択できるようにとの配慮だ。 

だがし売り場03
漫画「だがしかし」の舞台となる店のレプリカ(?)もある。


しかし、お客さんの大半は大人。童心に帰ってお菓子を選んでいる。なんなら昔欲しかったものをまとめ買いするための「大人買い」コーナーもある。子供連れの家族も多いが、子供だけでなく親やおじいちゃん、おばあちゃんたちも楽しんでいるようだ。
 

  

店の奥まったところには、縁日の屋台のような造りのおもちゃコーナーもある。わたしはここで、「カフェ明治屋」の金庫にしまう宝物をまとめ買いした。前にこのブログで書いた通り、未就学児のお客さんには金庫のなかのちょっとしたおもちゃをプレゼントすることにしているのだ。 

  

妻は柿の種やチョコレートを選んでいた。実をいうと、わたしたち二人は柿の種とチョコレートをほぼ毎日食べている。夕方店を閉め、かたづけが一段落してほっと一息つくとき、柿の種とチョコレートは格好のおやつになる。バタバタと忙しい日々の生活のなかで、この「柿ピーチョコタイム」は数少ない憩いの時間だ。「日本一の駄菓子売場」では売り場に「日本のだがしで世界平和を!」と掲示してあった。世界平和はどうかわからないが、駄菓子がひと時の心の平穏をもたらしてくれることは間違いない。 


y1_tokita at 05:00|PermalinkComments(0)瀬戸内暮らし 

2019年06月14日

いろんなものを少しずつ

最初に断っておくが、「カフェ明治屋」の店主であるわたしは料理人ではない。「カフェ明治屋」では調理はもっぱら妻が担っている。ただ、わたしも食べることは大好きだ。おいしいものには目がない。以前、わたしがまだ酒飲みだったころ、甘いものには興味がなかったが、妻が買ってきたダロワイヨのチョコレートを一口食べてそのおいしさに驚愕し、次から次に食べてしまったことがある(妻からは「現金な人ね」と言われた)。 

  

そんなわたしが思うに、料理を決めるのはやっぱり「味」だ。一口食べて「おいしい!」と感じさせるものは脳を強く刺激し、記憶に焼き付けられる。「また食べたい」「またあの店に行きたい」という衝動を起こさせるのは味覚の記憶だと思う。 

  

一方で、料理の素人とプロを決定的に分かつのは「盛り付け」だと聞いたことがある。器などの違いもあるのだろうが、目を楽しませるセンスは、修行を積まないとなかなか身につかないものらしい。最近は、「インスタ映え」を狙った奇抜な、あるいはどぎつい色の食べ物もあるが、それは置くとしても、盛り付けひとつで「わぁ、おいしそう!」と思わせるのはたしかに技だ。 

  

そういう味付けと盛り付けの技量があってのことだが、近年の外食メニューの傾向として「多品種少量」があるような気がする。これは、とくに女性の「あれもこれも食べたい」「おいしいものを少しずつ食べたい」という欲求に応えたものだろう。 

  

前回のブログで紹介した「星のヒカリ」のパスタランチも、パスタだけ取れば「えっ、これだけ?」と思うくらい少ない。しかし、ラザニア(日によっては別のパスタ)が付き、フォカッチャがあると、男のわたしにとってもそこそこの量になる。さらに、前回も書いた通り、食後のデザートはスイーツ4種とフルーツの盛り合わせである。スイーツ一つひとつは、それこそ一口大なのだが、それが4種類もあると標準的な大きさのスイーツ一つよりも魅力的に思える。 

味家山崎01
味家山崎02
味家 山崎」の入口とサービス膳。大人気なのがよくわかる。


と、ここまでの話は前振りで、今回紹介したいのは岡山市東区の東平島にある「味家 山崎」という日本料理の店である。わたしたちは日帰り温泉からの帰り、ランチを取ろうとたまたま寄ったのだが、これがビンゴだった。わたしたちが注文した「サービス膳」には天ぷら、お造り、煮物、焼き魚、和え物、だし巻き、茶わん蒸し、香の物がつく。料理の種類からいったら旅館で出される夕食とさして変わらないが、旅館の夕食が一品一品が多くて食べきれないくらいなのと違って、それぞれがほんの少しずつなのである。しかも、すべて手抜きをすることなく丁寧につくってある。たとえば小ぶりな茶わん蒸しには
海老、ゆり根、銀杏、鶏肉、干ししいたけ、三つ葉がきっちり仕込んである。味もいい。この「サービス膳」がコーヒー付きで1,080円である。東京でこの内容なら安くても2,000円近くにはなるだろう。さすがに岡山でもこのメニューはリーズナブルらしく、お客さんがひっきりなしに来店する。 

  

いろなものを少しずつ。言うは易く行うは難し、であることは料理をしないわたしにも想像がつく。「星のヒカリ」「味家 山崎」には頭が下がる。 


y1_tokita at 05:00|PermalinkComments(0)瀬戸内暮らし 

2019年06月08日

倉敷のイタリアン「星のヒカリ」

倉敷のおいしい店については、このブログでも何回か取り上げてきたが、今回は、最近やっと行けた店を紹介しようと思う。その店は、美観地区にある「イタリア料理 星のヒカリ」という。なぜこれまで行けなかったか。店の入り口までは2度行ったのである。しかし、いずれも満席で入れなかった。人気の店なのだ。

星のヒカリ01
「星のヒカリ」は落ち着いたたたずまいだ。


「星のヒカリ」は、「
くらしき宵待ちGARDEN」というエリアの一画にある。「宵待ちGARDEN」というのは、小径を散策できる竹林と小さな野外ステージのある公園である。人の多い美観地区のなかにあってここだけ別世界のように静かだ。その入口に町家風の店舗棟があり、なかにギャラリーやフルーツパーラー、そして「星のヒカリ」が入っている。 

  

「星のヒカリ」には2階に要予約の部屋もあるが、通常は1階だけで営業しているようだ。2人掛けの席が6つ、計12席。「カフェ明治屋」と同じように2人で切り回しているが、席数は「カフェ明治屋」の半分である。すぐ満席になるわけだ。 

星のヒカリ02
星のヒカリ03
星のヒカリ04
「星のヒカリ」の料理。どれもおいしかった。


わたしたちはパスタとラザニアのランチを注文した。まず出されたのは有機野菜とフルーツのサラダ。りんごや柿、苺がちりばめられており、とてもおいしかった。自家製フォカッチャにつづいて出されたパスタは鰯のペペロンチーニ。ほどよい塩加減だ。ラザニアもくどくなく、美味だった。食後のデザートは、チーズケーキやティラミスなど
4種のケーキとフルーツの盛り合わせ。これにコーヒーがついて1,500円はお得だ。人気があるのもうなずける。 

  

今回、わたしたちは開店の11時を5分と回らないうちに店を訪れたが、すでに先客がいた。11時半ごろになると店は満席。以降の来店客は断られていた。この店に行くなら11時を目標にしたほうがいい。 

  

「星のヒカリ」での食事のあと、わたしたちはちょっと久しぶりにkobacoffeeを訪れた。ふたりとも倉敷ブレンドのストロングをいただく。「カフェ明治屋」の明治屋ブレンドに少し似て、苦みがあるが後味に甘さが残る。わたしたちが好きなコーヒーだ。 

  

星のヒカリ、kobacoffee、ラ・チェネッタ、小山珈琲、三宅商店・・・。倉敷にはおいしい店、わたしたちのお気に入りの店が多い。蔵が建ち並ぶ街並みとあいまって、休みにどこに行こうかとなったとき、妻が真っ先に「倉敷!」というのもわかる。

 



y1_tokita at 05:00|PermalinkComments(0)瀬戸内暮らし 

2019年06月02日

テレビの取材(その2)

前回、広島のテレビ局の取材を受けたことを書いた。放送は524日の朝だったのだが、広島のローカル番組なのでここ岡山では観られない。その代わり、取材に来たディレクターが番組を録画したDVDを送ってくれた。 

  

番組は、ご当地イベントの生中継や生活情報コーナーなどを挟みながら、この日のメイン企画(おそらく)である「やまとなでしこ旅日和。」を流していく。この日は瀬戸内市の3つのスポットを取り上げていた。 

  

まずは岡山ブルーラインにある「道の駅一本松展望園」。ここにはミニ鉄道公園がある。実際に石炭を焚いて走るミニSLなどを紹介していた。つづいて取り上げられたのが、同じブルーライン沿いにある「道の駅黒井山グリーンパーク」の「ゆうゆう交流館産直市場」。ここでは地元の農産物やお土産にうってつけの加工品をピックアップしていた。 

テレビ取材
レポーターの国光さん(右)とのやりとりにも緊張気味のわたしと妻。


そして、
3目の見どころとして取り上げられたのが「カフェ明治屋」である。瀬戸内市の広々とした畑を映してのんびりとした田園地帯であることを印象づけたのち、レポーターの国光かよこさんが「カフェ明治屋」の前の門前橋を渡ってくるところを映し出す。国光さんは「あら、こんなところにカフェが」と、ちょっと白々しいセリフを言いながら「カフェ明治屋」にご来店になる。 

  

ここからは取材を受けた時の撮影の通りである。店内やその日の日替わりランチ(灰干しサバの焼き物)、明治屋ブレンドコーヒー、自家製チーズケーキなどの映像とともに、国光さんのコメントやわたしと妻の説明が入る。スタジオのコメンテーターも「古民家というと古さ一色になりがちですが、テーブルやイスなどがモダンでいいですね」などと評価してくれていた。 

  

後半、国光さんが「おふたりとも、とても物静かですが、喧嘩なんかしないですか?」と訊き、わたしが「喧嘩はしょっちゅうですよ」(どちらが強いのかと問われて)「もちろん、妻です」と答える場面があった。たしかに取材時にそんなやりとりがあったが、まさかカットされずに生かされるとは思っていなかった。恥ずかしい。 

  

何はともあれ、料理とケーキが思った以上においしそうに映っていたことに感心したし、ほっとした。カメラマンはさすがにグルメものを撮りなれたプロだ。この番組で広島からお客さんがどっと押し寄せるということはなかったが(そうなっても困るが)、少しでも多くの人に「カフェ明治屋」の存在が知られるきっかけになったとすれば喜ばしい。 



y1_tokita at 05:00|PermalinkComments(0)カフェ