2020年05月

2020年05月30日

怪電話

わたしは移住してカフェを始めるまで、いくつかの会社に勤めてきたが、どれも中小企業だったので会社の代表番号の電話を取ることも多かった。すると、頻繁にかかってくるのが営業の電話である。 

  

わたしのサラリーマン時代は、日本の通信自由化や電力自由化の時期と重なるので、新電電などの電話会社や新電力事業者からの電話が多かった。「ウチに契約を変更するとこんなにお得ですよ」というわけである。 

  

といっても、下っ端のわたしでは話にならないので、電話に出るといきなり「社長はいらっしゃいますか?」という営業マンもいる。名前からでは社長と関係があるのかどうかわからない。相手が社長の知り合いだったら「どういうご用件ですか?」と訊くのも失礼に当たると思い、しかたなく社長につなぐと、はたして電話や電力の営業である。社長が断るのに四苦八苦している。結局、電話が終わった後で「すみませんでした。お知り合いかもしれないと思ったので……」とわたしが社長に謝る羽目になることもあった。 

電話
電話の向こうにいるのはだれか、疑ってかかったほうがいい場合も。


この手の電話はカフェを始めてからもしょっちゅう掛かってくる。ランチどきの忙しい時にも。「○○電力の××と申します。お宅の電気は中国電力とご契約ですよね。いま、お得なプランがございまして……」と始まったら、「差し当たって契約を変える予定はないのでお断りします」と、きっぱり言って電話を切るようにしている。
 

  

怪しいのがネット広告の勧誘電話だ。「こんどgoogle mapでお宅のお店を重点的に紹介させていただくことになりまして、取材にうかがいたいのですが……」などと言ってくる。訊くとgoogleの人間ではない。結局のところ、あとで広告料を請求する広告代理店の営業だったりする。 

  

それでも社名や氏名についてウソをつかなければ、まだましなほうだ。先日、電話を取ると「岡山県電気保安協会の△△です。中国電力からの要請で、今度、そちらに電気の点検にうかがうのですが、その前に訊きたいことがありまして」という。中国電力との契約内容について答えていたが、あまりに細かく訊いてくるので、さすがに訝しで「そのへんの情報は中国電力から入手できないんですか?」と問い質したら、いきなりブチっと電話を切られた。何だと思って受信履歴を見ると「非通知」になっている。電話番号を隠して掛けてきているのだ。これにはさすがに、しばらく、気持ちが悪かった。 

  

近ごろ、アポ電強盗などの物騒な事件が増えている。10万円の給付金をめぐる詐欺の電話もある。みなさんも、電話番号は確かめてから出たほうがいい。公的機関を名乗る電話が「非通知」で掛かってきたら、それはおそらく詐欺(少なくともウソ)だと思ったほうがいい。 



y1_tokita at 05:00|PermalinkComments(0)カフェ 

2020年05月26日

コロナショック(その8)

新型コロナウイルスで出されていた緊急事態宣言が全面的に解除された。525日、最後まで残っていた首都圏の13県と北海道で解除され、約50日ぶりに対象地域がなくなった。 

  

47日に7都府県に発令された緊急事態宣言は、416日に全都道府県に拡大された。約1カ月後の514日に39県で解除され、その後、京阪神地区が除かれていた。 

  

岡山県では、前回記したように、これまでに24人(再感染の1人を含めれば累計25例)の感染が認められたが、ここ2週間ほどは感染の報告がない。重傷者は2人出たが死者はおらず、全員が回復して退院している。 

テイクアウト容器
テイクアウト容器もいろいろ。


それでも、当然といえば当然だが、みなさん用心を怠らない。どこへ行っても、ほとんどの人がマスクをしている。岡山市の中心部は、一時、ゴーストタウンのようにひっそりとしていた。
 

  

「カフェ明治屋」も、ここ2カ月ほどは閑古鳥が鳴いている。東京などでの緊急事態宣言が解かれて一気に人出が増えるというわけでもなさそうだし(それはそれで危険だ)、徐々に旧に復するということになるのだろう。問題は、それがどれくらいのペースなのかということと、感染を予防する「新しい生活様式」のもとで、ほんとうにお客さんが前のように来てくれるかということである。 

  

テレビのニュースや「旅と味」を取り上げていたような番組では、ほかにないからかもしれないがテイクアウトの料理ばかりをピックアップしている。飲食店の利用が「持ち帰り」主体、少なくともかなりの部分を「持ち帰り」が占めるようになるのか、あるいはたんなる一時的な現象なのか、わたしにはまだわからない。 

  

しかし、世の中がテイクアウト主体になったときへの備えはしておかなければならない。わたしと妻は、店の定休日を利用して岡山市内の持ち帰り容器を扱っている店を見て回った。「カフェ明治屋」でランチの持ち帰りをはじめる際に何が必要か、あたりをつけるためだ。大体の見当はついたが、容器代もばかにならない。店内の飲食と持ち帰りを同時にやるとなると、手間もかかる。悩ましい。 

  

3カ月後、半年後、「カフェ明治屋」がどういう形で営業しているか予測がつかない。とにかく、お客さんの要望に沿うように工夫していくしかない。 



y1_tokita at 09:19|PermalinkComments(0)カフェ | 瀬戸内暮らし

2020年05月24日

甲山登山ブーム?

このブログの最初の回に記した通り、「カフェ明治屋」は小高い丘と川に挟まれたところにある。その丘は、高さが160メートルほどしかないのだが、ちゃんと甲山(こうやま)という名前がついている。一応、「山」なのだ。 

甲山とカフェ明治屋
門前橋から見た「カフェ明治屋」と甲山。


いやいや。一応、「山」なのだなどと馬鹿にしてはいけない。甲山は古くから信仰の対象で、山腹や麓には多くの古墳がある。前に記したが、俳優・コメディアンの三宅裕司さんのご先祖は地元の有力者で、甲山にその古墳(塚)が残されている。「カフェ明治屋」の真ん前の正通寺は、これも前に紹介した通り、古くは甲山の山頂にあったが、落雷で焼失し、
元和元年(1615年)に今の場所に下りてきたそうだ。さらに、「カフェ明治屋」からほど近い片山日子神社は、古来、神山(甲山)に鎮座しており、平安時代中期の天喜3年(1055年)に現在の地に遷座したと伝えられている(Machapuchareさんの登山記録(YamaRecoによる)。甲山は、由緒ある山なのだ。 

  

そんな甲山に登ってみようかと、移住してしばらくして考えたことがある。しかし、「カフェ明治屋」の反対側の南側からだと途中まではクルマで行けるのだが、その先、登山道がないようなのであきらめた。甲山登頂は、いまだに果たしていない。 

  

ところが、である。この甲山がこのところ静かな、ほんとうに静かなブームなのだ。今年の初め、市の会報のページを何気なくめくっていると、甲山登頂ツアーの参加募集をしているチラシが挟まっていた。公民館の主催で2月に20名で登るという。登頂だけが目的ではないらしく、古墳や史跡にくわしいインストラクターがついて、それらを見学しながらというウォーキングらしい。ちょっと興味がわいたが、ツアー当日は店の営業日だったこともあり応募しなかった。市のウェブサイトでの報告を見ると、なかなか楽しいウォーキングだったようだ。 

  

しばらくして、店のなじみのMさんが来店した。聞くと甲山に登ってきたところだとおっしゃる。ツアーに応募したけれど、すでに定員に達していてキャンセル待ちになってしまった、応募が40名ほどいるので繰り上げは見込み薄だということで一人で登ってきたそうだ。 

  

そのほかにも、ふらりと来店されたお客さんが、「いま、甲山に登ってきたところなんですよ」とおっしゃることがあった。途中、よじ登るような急なところもあるが、30分ほどで頂上に到達できるという。また、わたしが店の外でタバコを吸っていると、ハイキング姿で現れた男性が「このあたりに甲山の登り口があると聞いたんですが・・・」と尋ねてきたこともある。たしかに、南側のルートだけでなく、正通寺の墓地からの北ルートもあると聞いていたので説明した。12時間後、その男性が下りてきた姿を見かけたので無事に登頂できたのだろう。 

  

甲山の頂上は見晴らしがきくわけではないが、標識と古い社があるらしい。途中の古墳群も興味深い。ぜひ、わたしも一度登ってみたい。 



y1_tokita at 05:00|PermalinkComments(0)瀬戸内暮らし 

2020年05月18日

ドライブ日和(その2)

新型コロナウイルスのせいで「カフェ明治屋」はゴールデンウィーク中も半ば開店休業だった。定休日をしばらくのあいだ火・水・木の週3日に増やしたので、わたしも妻も時間はあるのだが気が晴れない(当たり前か)。気分転換に(人と接触しない)ドライブに出かけたことは前回、書いた通りだ。 

日笠川
岡山県道414号沿いのせせらぎ。


前回は、県南のどちらかというと海沿いのコースについて書いたが、ドライブといえば山あいのワインディングロードもいい。といっても、クルマが軽ワゴン(
MRワゴン)なので、もちろんコーナーを攻めるといった走り方をするわけではない。緑のなかを、のんびりトコトコ走るのである。 

和気の藤棚
和気の藤棚。来年は花の下に行ってみよう。


ここで紹介するのは、マイナーなコースで申し訳ないが岡山県道
414号福本和気線である。これは、以前、「湯郷鷺温泉館」から「備前海の駅」へ向かうとき、たまたまナビが示したコースで、まさに森とせせらぎの間を抜けていく林道のような道だ。このときには時間がなくて途中で休む暇もなかったが、いつか、ゆっくり走ってみたいと思っていたのだった。そのコースをゴールデンウィーク中の天気のいい定休日に走ってみた。 

夕立受山
夕立受山からの眺め。小豆島がかすんで見える。


起点は国道
374号の福本交差点。ここを東に曲がると県道414号である。ナビなどでは英田エンジニアリングという会社を目印にするといいだろう。道は田畑が広がる一帯からしだいに森に入り、離合もできないような狭さになる。道路わきは岩の間を流れる清流(たぶん、日笠川の上流)である。わたしたちは、途中でクルマを停め、少し歩いてみた。森の中の流れが生む冷気が心地よかった。 

  

山里をそのまま南下し、途中から県道46号を行くと和気の藤公園の脇を通る。コロナの影響で公園には入れなかったが、川越しに見事な藤棚を鑑賞することができた。備前市吉永からさらに南下して旧閑谷学校を通り、岡山ブルーラインの備前インターに出る。わたしたちは、ここで近くの夕立受山に登ってみた。登るといっても、夕立受山は標高210メートルで、山腹に駐車場がある。ここにクルマを停め、10分ほどのハイキングコースを歩いて頂上へ。頂上には、眼下に瀬戸内の海と島々を眺められる展望台がある。 

  

わたしたちは、この日、出発するときに「カフェ明治屋」のご近所の「パン工房むくむく」で買っておいたパンを頂上の東屋でいただきランチにした。東屋で少しだけ横になってみる。5月の日差しがまぶしい。風が心地いい。この瞬間だけを取り出せば、「すべて世は事も無し」である。 

  

いま、大変なのはわたしたちだけではない。もっと大変な人たちも大勢いる。「カフェ明治屋」にとっては何とも辛い時期だが、平穏な日々が戻るまでがんばろう。そんな元気を与えてくれるドライブとなった。 



y1_tokita at 05:00|PermalinkComments(0)瀬戸内暮らし 

2020年05月15日

コロナショック(その7)

東京、大阪などに出されていた緊急事態宣言が岡山県を含む全国に拡大されてから1カ月が過ぎた。この間、いろいろなことがあった。ゴールデンウィーク後も緊急事態宣言は延長され、そして514日、岡山を含む39県では解除された。 

  

コロナに関する前回のブログでは、岡山県下で22人の感染者が確認されたところまでを記した。その後、岡山では2例の感染確認があるのみである(515日現在)。23例目は倉敷市の30代男性で、倉敷市内では初の感染確認となった。24例目は岡山市で確認された50代男性である。この男性は兵庫県在住で、岡山で持病の治療を受けていたということだ。県外で感染した可能性が高い。 

コロナウイルス
新型コロナウイルス――目に見えないほど微細なものが世界を変えようとしている。


このところ、テレビを観ていると「外出自粛」や「営業自粛」に翻弄される国民の姿がイヤというほど映し出される。持ち帰りのみの営業でがんばっている飲食店など、勇気づけられるものもあるが、だいたいにおいて気が滅入るニュースが多い。仕方ないのだが・・・。
 

  

「カフェ明治屋」はというと、このひと月、ゴールデンウィークも含めて火・水・木の定休日(5月末まで毎週木曜日も休み)を除いては営業をつづけてきたが、半ば開店休業状態である。売り上げは、前年同期比で3分の1といったところか。厳しいどころの騒ぎではない。しかし、お客さんが来てくれて店が混むのも困ったものだし(感染の危険性が増す)、どうしようもない。 

  

岡山はもちろん、東京などの大都市でも新型コロナウイルスの感染が沈静化し、国民のムードが少しほっとしたという感じにならないと、客足は戻らないだろう。しかし、そうなったらそうなったで、感染者を出さないか、クラスターを発生させないかと店側は気をつかう。どこまで行ってもジレンマである。 

  

わたしたちは、インフルエンザなどと同様に新型コロナウイルスと共存していくしかないのだろう。いつまでもつづく「もぐらたたきゲーム」のように、感染者が出たらつぶす、出たらつぶすとやっていくしかないのかもしれない。 

  

問題は、そういう社会でカフェが(もっというと「カフェ明治屋」が)生き残れるかということである。わたしには、いま、その答えは見つからない。「新しい生活様式」での暮らしのなかにカフェで憩う時間が入る余地があるかどうか、それはお客さんが決めることだ。わたしたちは、できる限り「安全」「安心」な場を提供することを心がけるのみである。 



y1_tokita at 14:14|PermalinkComments(0)カフェ | 瀬戸内暮らし