2020年08月

2020年08月28日

キャンプのない夏休み(その1)

日本が、いや世界中が新型コロナに翻弄されて半年が過ぎた。このウイルスは暑さに弱いという説もあったが、それをあざ笑うように感染が拡大している。東京都の小池知事は「今年は特別な夏。帰省や旅行は控えて」と呼びかけた。 

前島展望台から
前島の展望台からの眺め。風が心地いい。


みなさんはどういう夏休み、お盆を過ごされただろうか。恒例の里帰りや旅行をあきらめた方も多いと思う。とくに、わたしたち夫婦が
3年前まで住んでいた東京の人は、Go Toトラベルキャンペーンから外されたし、何より「東京から来た人だ」「都内ナンバーのクルマだ」というまわりの冷たい視線にさらされるので、遠出はしにくいだろう。テレビでは東京都民向けに都内で地方や海外に行った気分になれる店や施設を紹介しているが、しょせんは「少し行った気分になれる」程度だ。こういう事態を想定していたわけではないが、東京を「脱出」しておいてよかった。 

  

それはともかく、「カフェ明治屋」では例年通り定休日と合わせて9日間の休みを取った。今年は、818日から26日である。わたしの場合、夏休みといえばキャンプ。20代から三十数年、夏休みにはキャンプに出かけてきたが、今年はキャンプには行かないことにした。やはり「コロナ疲れ」が心身に溜まっているのだろう。キャンプの準備や後片づけを想像すると、あまりウキウキとしない。キャンプに出かければ3泊くらいはしたくなるが、妻が言うには、それで4日、前後を合わせると6日間は潰れてしまう。9連休といっても最後の2日は仕込みなどの仕事日だから、「休みがキャンプだけで終わってしまう」というわけだ。妻は、それよりも休み中、毎日、ウチから日帰りで遊びに行くほうがいいという。 

  

そう言われればそうだ。1泊、2泊でキャンプに行くという手もあるが、今年はわたしも近場でのんびりという気分になり、キャンプには行かないことにした。その代わりといっては何だが、同じ瀬戸内市内の牛窓・前島の民宿に1泊することにした。前島は前にも紹介したように牛窓の港からフェリーで5分の島だ。牛窓の港からは目の前に見えている。前に訪れたときに、そのうちに一回、前島に泊まってみたいなぁーと思っていたのである。 

  

旅行当日は天気も良く、早出にうってつけだったが、わたしたちはのんびりとお昼を食べてから島に渡ることにした。なにしろ、この島にはいま、ランチをとれる店がないのである。「カフェ明治屋」の近くの「パン工房むくむく」でBLTEサンドなどを仕込み牛窓オリーブ園へ。オリーブの木の下でピクニック気分のランチとしゃれこんだ。オリーブの木陰は風がよく通り、思ったほど暑くない。おなかがいっぱいになったところでフェリー乗り場へ。あっという間の船旅で、わたしたちは島の人となった。 

  

前島は小さな島なので、クルマで1周してもそれほど時間はかからない。わたしたちは展望台に登ったりしながらゆっくり島内を一巡した。前に来た時にも思ったが、島内はどこへ行っても「島時間」が流れている。わたしたちは、自分たちの体内時計の進み方が少しずつゆっくりしたものになっていくような気がした。 

  

今夜のお宿は「唐琴荘」。わたしたちは早めの時間に宿に入り、ここでもゆっくりした。この宿は民宿というより老舗旅館といっていいほど立派できれいにしてあり、何より料理がすばらしかった。前島に泊りがけで行こうという人には絶対におすすめの宿である。 

  

わたしたちは、文字通りの上げ膳据え膳で満腹になり、幸せな気分で眠りについた。たまには、ほんとうにたまには、こういう日があってもいい。 


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2020年08月22日

オールウェイズ

困ったことになった。いやー、ほんとうに残念なことになった。何かというと、カフェ「珈琲と人」の定休日が火曜日と水曜日になったのである。 

  

「珈琲と人」は総社市の人気のカフェで、前にもこのブログで紹介したことがある。この店は、コーヒーなどの飲み物もいいが、ランチがすばらしい。わたしたち夫婦は、すっかりファンなって、クルマで片道1時間はかかるが月に1回は通ってきた。以前は水曜日が定休日だったので、「カフェ明治屋」の定休日(火・水)のうち火曜日に行くことができた。数カ月前からは水曜日にもランチをやるようになって、「がんばるなぁ」と思っていたところである。 

オールウェイズ
「オールウェイズ」は外観からしてしゃれている。

ところがである。その「珈琲と人」が火曜日と水曜日を休むという。「カフェ明治屋」の定休日と
丸被りである。「カフェ明治屋」は月に1回、第2木曜日も休みにしているが、この日は買い出しや仕込みで忙しく、総社市まで足を延ばせない。 

  

「珈琲と人」の近くには、山手直売所「ふれあいの里」というJAの農産物直売所があり、店の野菜の仕入れにいいと妻が気に入っていたので、余計に残念である。「珈琲と人」には、たまの長期休暇中に行くとして、総社のこのあたりにランチに適した店はないか。ネットで調べてみると、「オールウェイズ」という店があることがわかった。 

  

「オールウェイズ」は、このブログで前に紹介した人気のパン屋「インダストリー」の姉妹店である。行列のできる「インダストリー」のパンを使ったランチがお店でゆっくり食べられるとあっては、行かずにはおられない。さっそく行ってみた。 

  

「オールウェイズ」は山手直売所「ふれあいの里」からすぐのところにあった。わたしたちが行ったときには幸いそれほど混んでおらず、すぐに席に着くことができた。わたしは「LUNCH PLATE WITH BREAD」を選択。この日はボルシチとバゲットのプレートだった。ボルシチもおいしかったが、「インダストリー」のバゲットがやはりおいしい。バターも少し塩味を利かせたもののようでバゲットによく合う。バゲットは6切れもあって食べきれなかったが、ちゃんと最初から持ち帰り用の袋が添えてある。妻はテリヤキマスタードチキンのサンドイッチを注文。ひとくちもらったが、こちらのパンもチキンもとてもおいしかった。サンドイッチにはほかに、海老マヨサンドやサーモンクリームチーズなどがある。焼きチーズサンドやハンバーガーもある。どれも試してみたくなるものばかりだ。 

  

このあたりは田園地帯だが、備中国分寺や作山古墳といった太古の歴史を感じさせるものがある。落ち着いた町の「おいしい、しゃれた」カフェ、これからも足を運びたい。 



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2020年08月16日

裏メニュー

わたしは20代前半の一時期、ほとんど毎日の夕食を居酒屋でとっていた。当時、東京・杉並区の地下鉄丸ノ内線新高円寺駅の近くに住んでいた。駅から地上に出て、商店街の入り口すぐのところに行きつけの居酒屋があった。店の名前は忘れたが、無口だが気のいいおやじさんが焼きトンを焼き、愛想のいいおかみさんが接客するという典型的な個人営業の居酒屋だった。 

ダブルトースト
「カフェ明治屋」の裏メニュー「ダブルトースト」。


店の売りはなんと言ってもおやじさんが焼く焼きトンである。鶏ではなく豚のモツを串に刺したものを炭火で焼く。タン、ハツ、レバーを
2本ずつ焼いてもらい、焼酎のホッピーわりで流し込む。これが何とも言えずうまい。さらに、カウンターにはおかみさん手作りのお惣菜の鉢が並ぶ。煮つけあり、お浸しあり、どれもうまい。この居酒屋は、わたしにとってのパラダイスだった。 

  

毎日のように通う常連ともなると店の側も客の好みを承知していて、たまにブリのカマが入るとわたしの分をとっておいてくれた。これに塩をして炭火で焼いたものはわたしの大好物なのである。 

  

常連客のなかには、自分の好みでちょっとしたわがままを言う人もいる。「焼きトンの塩、濃い目にして」とか「サラダにマヨネーズかけないで」とか、他愛もないことだが、あるとき、常連のおじさんが「コブクロを刺身でちょうだい」と言ったのには驚いた。豚の肉、しかもモツを生で食べようというのである。おかみさんもさすがに「大丈夫?」と聞いていたが、注文したおじさんが「大丈夫、大丈夫!」と言うので、コブクロは刺身で提供された。おじさんはうまそうにむしゃむしゃ食べていたし、そのあと腹を壊したとも聞かないから何ともなかったのだろう。ここまでくると、お品書きにはないりっぱな「裏メニュー」である。 

  

「カフェ明治屋」には、そんな危なっかしい「裏メニュー」はもちろんない。しかし、メニュー表にはないけれど、注文を受ければ出すものはある。ひとつは、なんてことない、ただの「ミルク」である。お客さんのなかには、カフェインは一切ダメという方がいる。ところが「カフェ明治屋」のモーニングサービスでは飲み物はコーヒーか紅茶の二択である。どちらも、カフェインレスは用意していない。そこで、お客さんがどうしてもということであれば「ミルク」(Hot or Ice)も出すことにしている。 

  

もうひとつ、これもモーニングサービスだが、トーストモーニングのパンを2枚にしてほしいというお客さんがいらっしゃる。追加注文の場合もあるし、最初から2枚焼いてほしいというお客さんもいる。これは、メニューには載せていないが「ダブルトースト」(650円)としてお出ししている。 

  

「カフェ明治屋」でモーニングサービスをご注文のとき、「ダブルトースト」とおっしゃると、通ですぞ。
 
 
このブログも、今回で250回となりました。これまでのご愛読に感謝いたします。これからも、よろしければ駄文にお付き合いください。 



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2020年08月10日

コロナショック(その12)

いつかはそうなるだろうと思っていたが、ついにというべきか、わが瀬戸内市内で新型コロナウイルスの感染者が出た。20代女性で、すでに感染が判明している岡山市の男性と行動を共にしていた。濃厚接触者であるこの女性の家族が感染していなかったことと、瀬戸内市内での市中感染ではないとみられることが救いといえば救いである。 

  

市内で感染者が出たことで、近隣のみなさんの行動自粛にも拍車がかかっているようだ。ここのところ、高齢者を中心にお見えにならなくなった常連のお客さんも多い。困ったものだ。 

  

岡山県全体でも新型コロナの感染拡大はつづいている。つづいているどころか拡大のペースを上げつつあるように見える。前回のこの項のブログ729日時点の情報に基づく)では、10日で30人の感染確認があり、県内の感染者(再陽性を除く)が70人になったと伝えたが、その後、毎日のように感染者が判明し、感染者は89日時点で110人になっている。 

コロナウイルス
  いつ見ても憎々しい新型コロナウイルス。


接客を伴う飲食店での新規のクラスターも確認された。これで、県内のクラスターは
3つになった。岡山県や岡山市は危機感を深めているようで、市街地のキャバクラやホストクラブなどへの指導を強化しているようである。 

  

県内の感染者増加ペースが増していることと、瀬戸内市内で感染者が出たことがダブルパンチとなったのだろう。このところ客足がめっきり少なくなった。「カフェ明治屋」としては、感染対策を取りながらこの状況に耐えるしかない。 

  

もうすぐお盆だが、今年のお盆休みは東京・大阪などから帰省する人も少なく、ひっそりしたものになるのだろう。それは、コロナ対策としてはいいのだが、その時期が書き入れ時の飲食店などにとっては大問題だ。 

  

岡山県内、そして東京・大阪などの都市部、さらに日本全体の感染者が一日も早くピークアウトしてくれることを願うばかりである。 



y1_tokita at 12:00|PermalinkComments(0)カフェ | 瀬戸内暮らし

2020年08月04日

虫との戦い

東京の集合住宅から岡山の一軒家に移住して3年が過ぎたが、いまだに手を焼いているのが雑草と虫である。冬の間はまだいい。草もそれほど生えないし、虫もほとんど見かけない。それが、春から夏にかけて、生命力の爆発とはこのことか、と思わせるほどに草も虫も急激に増殖する。 

  

草や木は、こまめに刈り取るしかない。これがなかなかできないのだが、手に負えなくなったら「シルバーさん」(シルバー人材センター)にお願いして一気にきれいにしてもらうという方法もある。 

凍殺ジェット
わが家の殺虫剤。右端のスプレーが「凍殺ジェット」。


日常的に悩まされるのは虫のほうだ。まさに神出鬼没、なぜこんなところに、と思うところにいる。店が混んで忙しいときにかぎって客席の上をハチが
舞っていたりする。ハチといえば、今年も軒下にアシナガバチが巣をつくり始めていた。早々に発見し、去年の失敗を繰り返さないように慎重に駆除した。庭の木には「フマキラー ハチ超激取れ」という捕獲キットも吊り下げた。 

  

ハチに劣らず悩まされるのがムカデだ。先日、開店前に玄関先の掃き掃除をしていたら10センチを超えるムカデが2匹、ぴったりとくっついた状態でじっとしていた。死んでいるのかと思って箒の先でつつくと2匹は離れて急にせわしなく動き始めた。おそらく交尾中だったのだろう。お楽しみ中に悪かったが死んでもらおう。こちらに向かってきた1匹を箒で何度もたたくとさすがに動かなくなった。側溝に追いやって枯葉をかけてやった。 

  

ところが、しばらくして見に行ってみると、そのムカデはもぞもぞと側溝から這い出て動き出していた。すごい生命力だ。こんなときにはアレしかない。「フマキラー 凍殺ジェット」である。これは殺虫剤ではなく瞬間冷却によって虫をお陀仏させるもので、効果は絶大だ。今度こそ、ムカデはピクリとも動かなくなった(この種のスプレーがないときには熱湯がいい)。 

  

この話には続きがあって、またしばらくしてわたしがタバコを吸いに出てみると、玄関先に先ほどのムカデの片割れがいる。相方が戻ってくるのを待っているようにも見えるし、こちらを睨みつけているようでもある。「あたしのダンナに何てことしてくれたのよ!」とでも言っているかのようだ。少し可哀想にも思えたが、ここに居座られても困る。こちらも「凍殺ジェット」の一撃であの世に行ってもらった。 

  

虫には何の恨みもないし、無用な殺生はしたくないが、商売柄、虫にいてもらっては困る時と場所がある。南無阿弥陀仏、南無阿弥陀仏。



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