カフェ

2017年08月12日

カップにまつわるエトセトラ

前回記したとおり、IKEA通いをしながら「カフェ 明治屋」のイス、テーブルや食器の候補をあれこれと考えている。店頭在庫限りの小鉢を買った際に、コーヒーカップやランチ皿のサンプルもいくつか買って帰った。カップ&ソーサーは小さなホワイトのものとそれよりやや大きいオフホワイトのものの2種類だ。さっそくコーヒーを入れてみる。 

  

小さいほうは、さすがにコーヒーの量がやや物足りない気がする。このカップは、13clと表記してある。cl(センチリットル)という単位は日本ではあまり見かけないが、ヨーロッパではよく使うらしい。1cl10cc、つまり13cl130ccだ。それよりやや大きいほうのカップは14cl140cc)とある。わたしはこのとき、13cl14clをすり切りいっぱいの容量だと勘違いしていた。13cl14clがすり切りの量なら、コーヒーは100ccほどしか入らない。 

  

あらためて調べてみると、コーヒー1杯の量は120150ccが標準らしい。カップにそそいでいちばん美しく見える7分目でこの量だから、カップの容量は170210ccくらいがいいことになる。 

コーヒーカップあれこれ
どれがいいか・・・。あぁ、カップばかりが増えていく。


そこで、店舗用の食器を専門に扱う店をネットで見つけ、大きさといい造りといい良さげなカップを取り寄せてみた。カップの容量は
200cc、円筒形に近いカップでスタックできる。ソーサーはスクウェアでなかなかしゃれている。ところが、問題が発生した。ソーサーの上でカップを回しにくいのである。カップを回そうとするとソーサーごと回ってしまう。もうひとつ、ソーサーの縁の高さが低すぎて指が掛かりにくく、テーブルに提供するときにカタッと鳴ってしまう。細かなことだが、妥協はしたくない。 

  

またまたネットを探し回り、これぞコーヒーカップというすっきりしたデザインのカップを見つけた。軽量強化磁器なので業務用にも適しているという。サンプルに1つ取り寄せてさっそく使ってみる。容量は200ccだから7分目に注いで140ccでちょうどいい。しかし、ここでも問題発生。カップを回すときに、カップの位置が安定しない。ソーサーの上でずれてしまう。 

  

あちら立てればこちら立たず。サンプルに買ったカップばかりが増えていく。と、ここであることに気づいた。IKEA14clのカップとネットで購入した200ccのカップの大きさがそれほど変わらないのである。そこで、IKEA14clのカップにすり切りいっぱいに水を入れて測ってみると180ccあった。14clとは、8分目に入れた飲み物の量だったのだ。ヨーロッパのメーカーは実際の飲み物の量を(clで)表示し、日本のメーカーはすり切りいっぱいの量を(ccで)表示する。初めて知った。 

  

何はともあれ問題解決。「カフェ 明治屋」のコーヒーカップはIKEAのものに決定した。コーヒーカップ選びひとつでこの調子だから先が思いやられるが、まったくの素人がカフェをやろうというのだから仕方がない。しかしその実、試行錯誤している過程が楽しくもある。 



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2017年08月07日

「お伊勢参り」ならぬ・・・

日々、開店に向けた準備に追われている。店内の内装の仕上げ、駐車場などのエクステリアの整備に加え、そろそろカフェの什器も選定しなくてはならない。 

  

といっても、わたしたちは予算が相当に限られているので、思った通りに高価なものをそろえられるわけではない。コーヒーカップやお皿といった食器も、ひとつ何千円というブランド品で統一できればそれに越したことはないが、無理だ。しかし、物は考えよう。何も高級品だけがお客様に喜ばれるというわけではないだろう。使いやすく親しみのわく、しかもリーズナブルな食器はないか。これまで見てきたものの記憶をたどり、また、ネットをあちこち見ながら考えた。 

  

そんなある日、ふと訪れた牛窓のカフェでコーヒーを飲んでいたわたしたちは、ソーサーの裏に「IKEA」と記してあるのに気づいた(カフェで気になるカップがあると、つい裏を見る癖がわたしにはある)。IKEAの家具は以前から気になっており、店のイス、テーブルなどの調達先として候補にピックアップしていたが、たしかにIKEAには食器もある。その手があったか。見てみなくては。 

IKEAコーヒーカップ
IKEAのカップにコーヒーを入れてみた。なかなかいい。


というわけで
IKEAに行くことにした。「カフェ 明治屋」から一番近いIKEAは神戸にある。走行距離130キロ、ほぼ高速道路の道のりを約2時間のドライブでIKEA神戸店に到着、その広大な売り場と品揃えに圧倒されながら見て回った。初回は下調べといった感じで、コーヒーカップなどの品番をメモして帰った。IKEAでは、たいていの商品はネットでも買えるから、店舗用の大量購入の際には配送してもらえばいい。 

  

ところが、帰ってからネットで確認してみると、購入しようと思った小さなカップ(店では小鉢として使用予定。40個購入のつもり)がネットショップにはない。たぶん、店頭在庫限りなのだ。店で直接買うしかない。そうわかると居ても立ってもいられず、翌々日、再び一路IKEA神戸店へ。苦労した甲斐あって小鉢は無事に手に入った。 

  

わたしの友人で元同僚のE氏は、奥さんが新宿伊勢丹での買い物が好きなせいで、週末ごとに伊勢丹に通っていた時期があったという。本人は、それを「お伊勢参り」と称していた。最近のわたしたちは、それに近い「おIKE参り」である。 



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2017年07月26日

「養生8割、塗り2割」というけれど・・・

「カフェ 明治屋」の改装は、いよいよ漆喰塗りという段になった。客席3室、レジ室、玄関土間の壁すべてを漆喰で埋めなければならない。気が遠くなるような作業だ。 

漆喰塗り2

脚立に乗り、壁に漆喰を塗っていく。単純だが気を使う作業。

漆喰セット
漆喰と道具。奥から練済み漆喰、コテ板、コテ(大・小)。

「明治屋」のもともとの壁は数十年前に塗りなおしたのか、子供のころによく見かけた繊維壁(指で押すと少しへこむ、キラキラした繊維片の混ざった壁)や砂壁(ざらざらした壁で、こするとパラパラと粒が落ちる)だ。本来なら下地処理が必要なのだろうが、それなしに塗れるという練済みの漆喰をネットで見つけて取り寄せた。  

  

ネットの体験談では、とにかく養生(マスキング)をしっかりしないと漆喰があちこちについて大変なことになるから、これでもか、というくらいに養生をすることと書いてある。なるほど、下準備に手間をかけるのは職人仕事っぽくていい。つぎに、1回目は下地が透けて見えるほど薄く塗り、十分乾いてから2度塗りするのがきれいに仕上げるコツらしい。了解、了解。 

漆喰・養生
養生テープ、マスカー(テープとシートが一体になったもの)、養生シートを張りめぐらせる。

漆喰・養生2
柱も鴨居もシートで覆って、さながら工事現場。

さっそく試しに目立たないところに塗ってみる。養生をしっかりしたうえで、コテを押しつけるようにして薄く万遍なく・・・うっ、うまくいかない。コテを押しつけすぎると薄くどころか元の壁がむき出しになってしまうし、もう少し厚く塗ろうとするとボテボテになってしまう。悪戦苦闘、結局、コテコテの厚塗りになったうえに、わが身はシャツもパンツも飛び散った漆喰だらけになってしまった。一方、妻のほうはさっそくコツをつかんだのか、手早く薄く塗っている。コテ跡も目立たず仕上がりがきれいだ。   

  

おかしい、何かがおかしい。自分がとくに器用だとは思っていないが、不器用だという自覚もない。子供のころはプラモデルをきれいに作って細かな塗装もしていたし、「図画工作」「技術」の授業でも物を作るのは好きだった。しかし、漆喰塗りは(少なくとも妻との比較では)下手だ。素直に認めるしかない。 

  

下手だといっても二人で作業をするしかないので、妻が7を塗る間にやっと3を塗る割合(しかも仕上がりが良くない)ながら二人で地道に塗っていく。次の部屋に移る前には、塗りは妻に任せて、わたしはもっぱら「養生係」に徹することにした。「知ってる?『養生8割、塗り2割』っていうんだよ」と負け惜しみをいいながら。 

  

それにしても、これだけの面積を2度塗りするのは勘弁してほしい。1度だけですまないものか。さいわい、繊維壁は心配した漆喰へのシミがでない。1度塗りだけですみそうだ。ところが、砂壁は塗った漆喰全体がまだらに黄色くなった。シミだ。客室のうちの2部屋が砂壁だから、全体の約4割は2度塗りしなければならない。二人で黙々と作業をする。 

漆喰塗り
狭いところは小さいコテで少しずつ塗る。根気がいる。


仕上げの床の間(ここだけはベージュの漆喰)は妻に任せて、何とか全体を塗り終える。使用した漆喰は総量
100キロ。マスキングテープをはがすと、黒い天井・梁・柱と白い漆喰のコントラストが美しく、素人仕事ながら、何とか古民家カフェらしくなってきた。自分たちで手掛けたせいの贔屓目か。 



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2017年07月21日

「あがり屋」方式

「カフェ 明治屋」の改装は、天井や梁・柱の古色塗りがやっと終わった。客席用の3室とレジカウンターの1室、それに玄関土間を、それぞれ1日から2日、都合1週間以上かけて仕上げた。脚立に乗って天井を塗っていく作業はとにかく疲れた。ふうー。 

  

つぎはいよいよ山場の漆喰塗りである。しかし、その前に説明しなければならないことがある。もともと、改装の本丸は客席部分のフローリングのはずだった。「カフェ 明治屋」は内外観ともに和の古民家だが、カフェに改装するにあたって、モダンですっきりした雰囲気にしたかった。となると、理想をいえば床は無垢のフローリングで、当然、靴のまま上がれるカフェにしようと思っていた。 

  

ところが、物件探しのときにお世話になった、ある不動産屋さんにこの話をすると、その人は畳敷きの客席を想像していたらしく、「靴のまま上がるのはどうですかね」という。「明治屋」もそうだが、古民家の和室は概して天井が低い。とくに、鴨居は身長168センチのわたしでもぎりぎり通れる高さしかない。靴を履いたままだとヒールの分だけ目の位置が高くなるから、圧迫感があるのだという。それよりも、畳敷きにしてイス、テーブルもやや低めにしたほうがいいのではないかと提案された。 

  

そして、参考までに訪れてはどうかといわれたのが、うちからクルマで10分ほどのところにある蕎麦屋「無哀荘 真金堂」だ。この蕎麦屋さんの建物は蒜山地方から移築した築150年を超える茅葺き屋根の古民家で、なかは畳敷き。ローチェアー、ローテーブルを配して、とてもいい感じの店内だ。畳敷きも悪くないな、いや、畳敷きのほうがいいかも、と思わせるものだった。 

無哀荘
「無哀荘 真金堂」の店内。落ち着ける雰囲気だ。


内外装工事の見積もりを頼んでいた業者さんにそのことを知らせると、畳替えをして本畳にするのもいいけれど、カフェなどの飲食店の場合、「たたみシート」を使う手もあるという。これは畳表の色・形状を模したビニルシートで、居酒屋や飲食店の座布団席でよく用いられているものである。飲料などをこぼしても畳より処理が楽で、何より本畳よりコストが安い。本畳の感触も捨てがたく迷ったが、結局、「たたみシート」の工事をお願いすることにした。
 

  

というわけで、二転三転、無垢のフローリングはやめ、客席は「たたみシート」とローチェアー、ローテーブルでいくことにした。床張り工事を自分たちでやるつもりだったわたしたちは、正直、ほっとした。ネットでいろいろ調べていたが、床張りは下地工事から始まってなかなか骨が折れそうなのだ。自分たちでやって、収拾がつかなくなる恐れもあった。 

  

いまから30年ほど前、わたしが小学生の甥っ子と暮らしていたころ、近所に「あがり屋」と子供たちが呼ぶ店があった。ふつうの民家が小遣い稼ぎに駄菓子屋をやっており、客の子供たちは玄関で靴を脱いで上がるから「あがり屋」だそうだ。「カフェ 明治屋」も玄関土間で靴を脱いで上がってもらおう。靴と一緒にもろもろのストレスも脱いでもらう店をめざそう。 



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2017年06月22日

めざすは「古色」仕上げ

店舗部分の天井、梁や柱に柿渋を塗ったが、いまひとつ理想とする色にならない。茶色の色味は増したものの、シミや手垢が消えず、重々しさが足りない。思い描いているのは、重厚で美しく、建物の長い歴史を感じさせる落ち着いた色合いである。またまたネットで調べてみると、建築の世界には「古色」仕上げというものがあるのがわかった。伝統工芸品を新しく製作する際に、わざと古びた様子に仕上げることだそうだ。 

  

寺社などの伝統的建築物を修復する際など、新しく補った部材に「古色」をつけて、周囲の古材との色彩的な統一に配慮するらしい。また、新築の際にも、古びて落ち着いた雰囲気を出したい場合に「古色」の塗装をすることがあるそうだ。 

松煙塗り
梁の部分に「古色」を塗っていく。


これだ。「カフェ
 明治屋」の内装は、「古色」の天井・梁・柱と白い漆喰壁というコントラストで決まりとなった。漆喰はあとで塗るとして、まずは木部に「古色」を施さねば。「古色」仕上げにもいろいろあるらしいが、ネットで見る限り多くの人が試している「柿渋+松煙+ベンガラ」で試してみることにした。 

塗装セット
上から時計回りに無臭柿渋、松煙、ベンガラ、塗料容器とハケ。


ちなみに松煙とは松の木の煤(スス)で、膠(にかわ)で固めると書道で使う墨になるもの。真っ黒な粉末だ。ベンガラは土からとれる酸化鉄で赤茶色の粉。インドのベンガル地方から伝来したことからそう呼ばれているらしい。
 

  

調合の割合もいろいろあるようだが、細かく試すのはめんどうだ。経験者のブログ記事などを参考に松煙30グラム、ベンガラ20グラムを水250cc、柿渋150ccで溶いて塗ってみた。 

塗装前
塗装前。シミや手垢が目立つ。

塗装後

「古色」塗装後。いい感じの仕上がりだ。 

  

なかなかいい。黒だが、漆黒ではなくやや赤く深みのある艶消しの黒だ。木目はうっすらと見える程度で、問題のシミや手垢も気にならない。これでいくことにして二人で塗り始める。しかし、天井にハケで塗っていくのは体につらい作業だ。しかも、これが30畳分以上もある。前途遼遠だ。

塗装途中
  天井と梁に塗りかけのところ。とくに天井は骨が折れる。



y1_tokita at 17:27|PermalinkComments(1)TrackBack(0)