カフェ

2017年06月22日

めざすは「古色」仕上げ

店舗部分の天井、梁や柱に柿渋を塗ったが、いまひとつ理想とする色にならない。茶色の色味は増したものの、シミや手垢が消えず、重々しさが足りない。思い描いているのは、重厚で美しく、建物の長い歴史を感じさせる落ち着いた色合いである。またまたネットで調べてみると、建築の世界には「古色」仕上げというものがあるのがわかった。伝統工芸品を新しく製作する際に、わざと古びた様子に仕上げることだそうだ。 

  

寺社などの伝統的建築物を修復する際など、新しく補った部材に「古色」をつけて、周囲の古材との色彩的な統一に配慮するらしい。また、新築の際にも、古びて落ち着いた雰囲気を出したい場合に「古色」の塗装をすることがあるそうだ。 

松煙塗り
梁の部分に「古色」を塗っていく。


これだ。「カフェ
 明治屋」の内装は、「古色」の天井・梁・柱と白い漆喰壁というコントラストで決まりとなった。漆喰はあとで塗るとして、まずは木部に「古色」を施さねば。「古色」仕上げにもいろいろあるらしいが、ネットで見る限り多くの人が試している「柿渋+松煙+ベンガラ」で試してみることにした。 

塗装セット
上から時計回りに無臭柿渋、松煙、ベンガラ、塗料容器とハケ。


ちなみに松煙とは松の木の煤(スス)で、膠(にかわ)で固めると書道で使う墨になるもの。真っ黒な粉末だ。ベンガラは土からとれる酸化鉄で赤茶色の粉。インドのベンガル地方から伝来したことからそう呼ばれているらしい。
 

  

調合の割合もいろいろあるようだが、細かく試すのはめんどうだ。経験者のブログ記事などを参考に松煙30グラム、ベンガラ20グラムを水250cc、柿渋150ccで溶いて塗ってみた。 

塗装前
塗装前。シミや手垢が目立つ。

塗装後

「古色」塗装後。いい感じの仕上がりだ。 

  

なかなかいい。黒だが、漆黒ではなくやや赤く深みのある艶消しの黒だ。木目はうっすらと見える程度で、問題のシミや手垢も気にならない。これでいくことにして二人で塗り始める。しかし、天井にハケで塗っていくのは体につらい作業だ。しかも、これが30畳分以上もある。前途遼遠だ。

塗装途中
  天井と梁に塗りかけのところ。とくに天井は骨が折れる。



y1_tokita at 17:27|PermalinkComments(0)TrackBack(0)

2017年06月16日

「平安時代の塗料」を塗る

いよいよ店舗部分の改装にとりかかることにした。床、壁、天井・梁・柱などすべてをカフェにふさわしいものにしなければならない。電気工事など素人の手に負えない部分は工務店の助けを借りるが、内装はおもにわたしたち二人で仕上げるつもりである。 

  

内装のリノベーションを自分でやった人のブログを見ると、順序としては電気工事を専門業者にやってもらう前に(あるいはそれと並行して)天井部分など上から作業をしていくのがいいらしい。 

  

「カフェ 明治屋」の天井、梁や柱は、初回に書いた通り明治42年(1909年)に建てられたままの造りである。そのままでも年代を感じさせる風格のあるものだが、シミや手垢も目立つ。木材の保護もかねて、より重厚な雰囲気を出す方法はないかとネットで探していたら、柿渋を塗るといいという記事を見つけた。 

柿渋塗り
脚立に乗り、柿渋を塗っては・・・

柿渋拭き取り

拭き取っていく。 


柿渋は防水・防腐剤として平安時代から使われていたといわれる塗料だ。わたしは「渋うちわ」しか知らなかったが、樋や樽、家の柱を長持ちさせるため、また漆の代用(下地など)として使用されていた一般庶民の塗料とのことだ(ターナー色彩のページによる)。  

   

この柿渋は、渋柿の汁液を発酵・熟成させた柿タンニンを多量に含む日本固有の材料(Wikipedia)で、有機溶剤などを使わない水溶性の天然塗料だ。シックハウスの原因であるホルムアルデヒドを吸着する効果もあるらしい(伊勢型紙のページ)。 

    

いいではないか。さっそく柿渋をネットで取り寄せ、試しに店舗部分の一室に塗ることにした。ところが塗るまでが大変で、天井に塗るには、それなりの脚立がいる。そこで、近くのホームセンターで高さ2メートルの脚立を購入。店の「お持ち帰り用軽トラック」を借りて、夫婦で「荷台に脚立を縛りつけた軽トラの人」となった。これだけ見れば、もうすっかり「地元人」である。軽トラの運転は初めてだったが、すべてが実質本位の万能車で、なるほど、「田舎のベンツ」といわれるわけだと納得した。 

柿渋塗り02
塗った直後にはシミも目立たなくなるのだが・・・。


それはともかく、脚立にのぼって柿渋塗りを開始。ハケで塗ってはウエス(古タオル)で拭き取るという作業を繰り返す。ところが、柿渋を塗った直後には木部の色が深く沈んで「いい感じ」になるが、乾燥するとやや赤みを帯びる程度で、問題のシミや手垢が消えない。もっと美しく重厚な感じに仕上げる方法はないものか。試行錯誤はつづく。
 



y1_tokita at 19:31|PermalinkComments(3)TrackBack(0)

2017年06月02日

「おしぼり」探して今治へ

「カフェ 明治屋」をどういう店にしようかと夫婦でいろいろと「夢想」していたとき、「おしぼり」は紙製の使い捨てではなく、蒸しタオルを出したいということで二人の意見が一致した。これは、前に紹介した東京・ひばりが丘の蕎麦屋さん「たなか」が生地の良いウォッシュタオルを「おしぼり」に使っていて、いつも気持ちがよかったことが影響している。 

  

カフェで席に着き、まず差し出されるほかほかの(場合によっては冷え冷えの)「おしぼり」はポイントが高い。タオルおしぼりは、店にとってはコストがかかることはわかっているが、ここは譲れないということになった。コストといっても、わたしたちは自分たちで洗って蒸してと準備しようと思っているから手間を惜しまなければいいだけのことだ。 

  

ところで、日本でタオルといえば愛媛県の今治が有名だ。わたしたちもプライベートで今治タオルを使っており、その良さはよくわかっていた。その今治では、毎年、5月と10月の2回、「今治タオルフェア」というイベントを催している。今治のたくさんのタオルメーカーが出展し、B級品などを破格の値段で販売するバーゲンがメイン行事だ。 

しまなみ海道
しまなみ海道、生口島と大三島の間にかかる多々羅大橋。世界最大級の斜張橋だそうだ。


わたしたちもさっそく、「おしぼり」を求めて今治へ行ってきた。瀬戸内市の自宅から尾道を通って「しまなみ海道」経由で今治へ。わたしたち二人とも「初・四国」である。片道
160キロ超のロングドライブだが、高速道路が整備されているから時間は2時間ほどしかかからない。 

今治タオルフェア
「今治タオルフェア」会場。朝から大賑わいだ。


「フェア」初日の
10時すぎには現地に着いたが、すでに会場はたくさんの人でごった返していた。「ワゴンセール」状態の店が多く、密集する人の中に分け入って目当てのものを掴み取るという、わたしたちにとっては苦手な作業が待っていた。それでも何とか、狙っていた「生地の良い白のミニタオル」を発見、70枚を購入した。これが1100円だから、はるばる来た甲斐があるというものだ。 

ミニタオル
ゲットしたミニタオル。1辺25センチほどで「おしぼり」にうってつけだ。


というわけで、わが家にはカフェ開業用の装備や器具はまだ何もないが、「おしぼり」だけは準備万端、という変な状態になった。まあ、こうやって一つずつそろえていこう。
 



y1_tokita at 22:05|PermalinkComments(1)TrackBack(0)

2017年05月28日

山の中の「のれん街」

まだまだ自分たちの生活のペースをつかもうとしている段階で、かたづけや改装の準備に追われる日々だが、息抜きがないと気疲れする。そこで、これまで通り、土・日をわたしたちの休日ということにしている。 

  

そんなある日曜日。天気もいいのでどこかへ出かけようということになった。わたしは大の温泉好きだが、妻は、温泉もいいけれど倉敷か勝山に行きたいという。調べてみると、倉敷の駐車場は日曜日には料金が高騰するらしい。どうしても行きたければ、わたしたちは平日でも行けるので、この日は勝山に行くことにした。 

  

県北・真庭市の勝山は古くは交通の要衝として栄え、いまでも土蔵や瓦屋根の商店が軒を連ねている。そのため、岡山県の「町並み保存地区」にも指定され、観光名所になっている。わたしたちは自宅「明治屋」に少し馴染んできたせいか、昔ながらの建物が並ぶ通りに親しみを感じた。 

勝山01
通りの入口近くには、いい感じの祠がある。

勝山02

古い街並みが、なんとも心地いい。 

勝山03
勝山04
勝山04-2


建物もいいが、目を引くのは各戸の入り口に掲げられた「のれん」である。それぞれにアイデアを凝らし、個性を主張している。「のれん」を見て歩くだけで楽しい街だ。  

勝山05
自転車店の店頭にも「のれん」。
勝山06
自動車修理工場の入口にも「のれん」。
勝山08
切手取扱店の店頭にも「のれん」。
勝山07
教会の入口にも「のれん」。
勝山09
昼食はカフェろまん亭でとった。ここも古い建物だ。
勝山10
勝山11
勝山には立派な蔵元もあり、直営のカフェがある。
勝山12
ここからは、勝山「のれん」コレクション。いろいろあって楽しい。
勝山13
勝山14
勝山15
勝山16
勝山17
勝山18
勝山19
勝山20
勝山21
勝山22

さて、「カフェ 明治屋」の「のれん」はどうしようか。勝山で見た「のれん」のようにしてもいいし、「日除けのれん」や「店頭幕」と呼ばれる天地サイズの大きい(地面まである)ものも捨てがたい。悩ましいが、あれこれ迷うのも楽しい。 



y1_tokita at 15:45|PermalinkComments(2)TrackBack(0)

2017年05月18日

カフェの「棲み分け」

前回、書いたように、こちらに来てやっていることの一つに「ご近所のカフェ」の「偵察」がある。偵察というと大げさだが、もともとカフェに行くことが好きだから、息抜きやランチがてら、参考になることはないかと覗かせてもらっているわけである。そこから見えてきたことは・・・ 

キノシタショウテン

キノシタショウテンのすっきりした外観。インテリアもセンスを感じさせる。 


まず、隣駅・邑久駅に近く瀬戸内市役所の向かいにあるキノシタショウテン。今風の外観・内装で、店の奥には焙煎機が鎮座している。そう、ここは自家焙煎で、コーヒーには相当なこだわりがあるようだ。わたしはランチにサンドイッチとブレンドコーヒーを注文したが、コーヒーの原産国・地域/農園名・ローストの程度などを記したメモが添えられていた。わたしたちが行ったとき、お客さんのほとんどは女性。コーヒーの味もだが、店のしゃれた雰囲気に惹かれていると見た。  

カフェ・ユクリ

カフェ・ユクリは看板がなければ古民家を今風に改築した住宅にしか見えない。

つぎは同じ邑久町ながら駅からは遠く、細い道を入った集落にあるカフェ・ユクリ。古民家を改装した店で、靴を脱いで上がるようになっている。広い縁側と畳敷きの座敷にゆったりと席が設けてある。注文したランチを待つ間、庭を眺めると、エサやり場に雀たちが交代でやって来てついばんでいた。ほっこりした陽だまりのような空間だ。ここは女性のグループ、カップル、家族づれと客層が多彩だった。古民家の温かさ、家庭的な雰囲気を好む人たちが通っているのだろう。  

ログキャビン

太い丸太を使った立派な造りのログキャビン。2階もある。

もう一軒はキノシタショウテンにも近い、その名もログキャビン。ワイルドなアウトドア料理を出すかと思いきや、メニューは家庭料理そのものといった感じで、わたしたちが行った日の日替わりランチは酢豚の御膳だった。しかも、それがコーヒー付きで700円。店内には中年の夫婦、年配者のグループが多く、「地元の食堂」といった感じ。地元のじっちゃん(失礼。かなりの高齢と思しき男性)が軽トラで来店していたのが印象的だ。  

  

しゃれた今風の店、古民家の落ち着ける店、リーズナブルな地元の食堂的な店、それぞれに特色を出しながらターゲットの客層をしっかりつかんでいる。さてさて、では「カフェ 明治屋」はどういう特色を打ち出し、どのような客層に訴えるか。いまはまだ、男女・年齢を絞らずに、自分たちがおいしいと確信したものをていねいに作って出すしかないと思っている。そうすれば、自然と客層は絞られてくるだろう。あとは、お客さんに教えられながら、わたしたちだけの「ニッチ(隙間)市場」を見つけよう。 



y1_tokita at 16:41|PermalinkComments(0)TrackBack(0)