カフェ

2018年01月18日

「隠れ家カフェ」からまなぶ

「カフェ明治屋」のご近所にあるカフェ牛窓のカフェ(とくに「珈琲 べるま~ど」)については前にも記したが、今回はもう少し離れたところにある個性的なカフェを紹介したい。岡山市内や倉敷市内には魅力的なカフェがたくさんあるが、わたしたちは休日には都市部よりも山間部の日帰り温泉に行くことが多く、とくに湯郷温泉にはほとんど毎週のようにかよっているので、どうしてもそちら方面ということになる。 

  

Asato

Asatoの庭とエントランス。人里を離れ静かだ。


まずは和気町にある
Asato(アサト)。アサトとは、ここの看板犬の名前である。標高400メートルの山の中の一軒家で、ナビがなければ到底たどり着けないようなところにある。建物は、築約60年の古民家だ。ご夫婦で営業しており、ランチは予約制である。ふらりと寄ったわたしたちは、コーヒーだけをいただいた。 

  

ここのご主人は広島県在住で、休みのたびにここに通い、数年がかりでコツコツと改修されたそうだ。店内の柱や鴨居はオイルステインが塗られ良い感じに仕上がっている。客席の床板もご自身で張ったというから驚く。2010年にオープンしてからは、週の半分を自宅で、半分をここで過ごしながら生活しているそうだ。オープンから8年、「山の中の隠れ家カフェ」として人気が定着しているようだ。 

Kimamacafe
Kimamacafeからは広い空と山が眺められる。


もう1軒は、まさしく湯郷温泉への行き帰りの道で、路傍に小さな看板があることで気づいた。板に手書きの文字で「隠れ家カフェ Kimamacafe」とある。気になって、何度目かに通ったとき、矢印の方向へ行ってみた。ところどころの案内表示に従って山里の道を行く。行き止まりまで行くと、そこに一軒家のカフェがあった。 

  

Kimamacafeは女性オーナーがひとりでやっている店である。以前は都市部でお勤めだったそうだが、実家(それがいまのKimamacafeの場所)でお父様の看病をし、看取ったあと、ここに住み続けながらカフェをすることにしたそうだ。オープンは2012年で、わたしたちが見た看板を出してからは、わたしたちのようにふらりと寄るお客さんも増えたそうだ。もとのお仕事(輸入雑貨商)や趣味とも関係しているのだろうが、店内には各地から取り寄せたさまざまな雑貨が展示・販売されており華やかだ。 

  

ここではランチをいただきながら、話好きのオーナーからいろいろな話を聞いた。わたしたちがカフェを始めることにも大変興味を示してくださり、実際、開店してから間もなく「カフェ明治屋」のランチタイムに訪れてくれた。 

  

多くのカフェがオープンしては店じまいをしていくなかで、6年、8年とつづくにはそれなりの理由がある。AsatoKimamacafeの共通点は「隠れ家カフェ」ということだけではない。店主が自然体なのだ。小さく始めて、少しずつ口コミが広がるのを待つ。けっして焦らず、淡々と店をつづけていく。簡単なようで難しいことだと思う。わたしたちも、この姿勢にまなびたい。 



y1_tokita at 13:43|PermalinkComments(1)

2018年01月14日

野菜が高い!

「カフェ明治屋」では、野菜をふんだんに使ったメニューを提供するようにしている。たとえばモーニングサービス。トーストモーニングでは、コーヒー1杯の料金でトースト、ゆで卵だけでなくレタス、ブロッコリー、トマトのミニサラダをつける。日替わりランチではメインや付け合わせにさまざまな野菜を使う。新年から「週替わりカレー」を改めて固定化した「明治屋特製ドライカレー」でもサラダボウルを添える。ランチには必ずつけるスープの具材にも野菜は必需品だ。 

ニラと豚肉
ニラと豚肉の蒸しシャブもニラの値上がりで出しづらくなった。


その野菜が、このところべらぼうに高い。あまりに高騰してテレビのニュースなどでも報じられているから、日ごろ八百屋やスーパーマーケットに縁遠い人でもご存知かもしれない。たとえば、「カフェ明治屋」が仕入れている野菜卸業者の場合、サニーレタスが
1530円、ブロッコリーが1430円、パセリにいたっては11,400円である。 

  

考えてもみてほしい。1,400円といえば「カフェ明治屋」のランチの場合、およそ4食分の食材費である。それがパセリだけで消えてしまう計算だ。パセリを注文した妻は、納品に来た業者さんから「返品しますか?」と訊かれ、「はい!」と即答したそうだ(訊いてくれるだけ良心的な業者だと思う)。この野菜高騰の原因は、昨年秋の長雨と台風、初冬の気温低下で、「3月頃まで野菜全般の品薄高騰が続く見込み」だそうだ(株式会社まつの)。 

  

わたしは東京で編集者をしていたころ、おもに経済畑だったので消費者物価指数(CPI)の動向などにもそれなりに注意を払っていたが、経済政策で重視されるコアCPIは生鮮食品を除いたものだ。「季節変動の影響を排除するため」だが、半年以上にわたってこれだけ野菜が高いと無視できないのではないか、と思ってしまう。 

  

しかも、価格が上昇しているのは野菜だけではない。これもニュースになっているが、小麦粉の値上げが伝えられている。さかのぼって昨年秋からコメ(とくに業務用)が大きく値上がりした。家計にとっても打撃だが、飲食業には死活問題だ。 

  

「カフェ明治屋」の周りでは自家菜園をやっている人も多い。わたしも町内会の人に「畑をやるんならタダで貸してくれる人が大勢いるよ」と言われ自家菜園を勧められた。そのときは「時間的にその余裕はありませんよ」と答えたが、そのうち、カフェの営業時間を短くしてでも畑をやらないといけなくなるかもしれない。 



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2018年01月10日

大波小波

113日に「カフェ明治屋」がオープンしてからしばらくたつと、ポスティングしたチラシが功を奏したのか来店客が増え、とくにランチタイムには満席になることもしばしばだった。そんな日には、ランチが売り切れて入店をお断りすることもあった。 

ランチメニュー
ある日のランチメニュー。酢豚のランチとカレーランチを用意した。


ところが、オープンからひと月半ほど過ぎると、ランチのお客さんがガタンと減った。ひとつには、「あそこは満席で断られるから」と思われたのかもしれないが、なにより、それまで大勢来てくれていた中高年女性の
34人連れがほとんど全く来なくなった。これには驚いたし、正直、困った。用意しておいた食材が半分もはけない。自家消費するにも限度がある。わたしたちは、用意するランチの数を調整しながら様子を見ることにした。 

  

女性客が多いことを妻は最初から気にしていた。女性は目も舌も肥えた人が多く、評価が厳しい。そして、こういっては失礼だが「気まぐれ」だ。とくに岡山県人は、ある仕入れ業者さんに言わせると「飽きっぽい」そうだ。 

  

つまり、最初のころ来てくれていた中高年の女性客は、「新しい店ができたそうだから一度いっしょに行ってみようよ」という一団だったのだ。そういう人たちは二度、三度通うことには興味を抱かないだろうし、そもそもたまにしか外食しないのかもしれない。たまの外食だから、新規の店に行ってみたいのだ。 

  

そうなるとこの一団を店に呼び戻すのは不可能だ。去る者は追わず。しかし、そうとばかりも言っていられない。減った客足をどう埋めるか。その後のお客さんの層をみてみると、家族連れ(小さいお子さんを連れた若い夫婦や中年女性とそのお母さんや娘さんなど)やカップルが多い。女性の友達同士というお客さんもいるが、年齢層は比較的若い。 

  

今後はこのような客層に食い込みながら、リピーターになってもらう努力をしていくしかない。幸い、そういう層が読者に多いと思われる「瀬戸内ファインダー」というネット上の媒体に「カフェ明治屋」の紹介記事が掲載された。それやこれやの集客の効果を期待しながらも、どっしりと構えてみなさんのご来店を待とう。 



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2017年12月29日

カフェの時間割(その2)

午後1時過ぎ、ランチのお客さんの波が引くころに、やっと一息つく。ここから妻は「洗い物地獄」に立ち向かい始める。遅めのお客さんに食後の飲み物を出すと、そろそろ2時だ。 

  

200から閉店まではスイーツの時間だ。遅めに食事をとり、食後にスイーツを注文するお客さんもいる。スイーツ・タイムは、お客さんはぱらぱらと見える程度なので、わたしは様子を見ながら妻が洗った物をかたづけたりして厨房の手伝いをする。この間に、妻がつくってくれたおにぎりで簡単な昼食。そうこうするうちに530のラストオーダーの時間。ここでお客さんがいなければ閉店となる。 

午後5時半
午後5時半。ラストオーダーの時間だ。お客さんがいなければ、ここで閉店。お疲れさま。


立て看板とのれんをしまい閉店。厨房に向かい、本日
2度目の、そしてより心のこもった「お疲れさま」である。わたしは「おしぼり」を洗濯機に放り込み、一息入れて、ふたりで本日の売り上げの精算をする。売り上げの振れ幅が大きいので、毎日が一喜一憂である。 

  

それはともかく、ここからまだたくさんの仕事が待っている。仕事をかたづけてからと思うと夕飯などがいつになるかわからない。そこで、わたしたちの生活の基本である「風呂」「めし」は優先することにした。夕方以降のわたしのスケジュールはこんな感じだ。 

600 風呂を沸かす。 

630 入浴。 

700 客席の掃除。 

730 翌日の「おしぼり」の準備(洗って脱水した「おしぼり」を湯に浸し、1枚ずつチェックしながら畳み丸めてホットキャビに入れる)。 

800 夕飯 

830 夕飯のかたづけ。つづけて業務用炊飯釜、お米ネット、電子ジャーの洗浄。 

900 翌日のコメの準備 

930 わたしの作業場のかたづけと準備。翌日のランチメニューをフェイスブックにアップ。立て看板も書き換え。 

というわけで、一日の仕事が終わるのは夜10時前後である。この間、妻は翌日のランチの仕込みやスイーツの製作に追われている。妻のほうがやることが多く、終わるのは11時、12時になることもざらだ。 

  

ふうー疲れた。一日の作業終了。居間に移動してソファーに体を沈めると、たちまち睡魔が襲ってくる。もう寝よう。明日も5時起きだ。 

  

【お知らせとお願い】 

わたくしTOKIことカフェ明治屋店主は、アメリカン・トラッドのブランド「ブルックスブラザーズ」の「マイ・ブルックスブラザーズ・ストーリー」コンテストに応募しています。投稿したエッセイは、ここから、「いつもポロカラーシャツが」というタイトルを見つけてご覧ください。よろしければ、お名前とメールアドレスを記入して「投票」してください。投票された方にはプレゼントのチャンスもあるようです。

  

 



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2017年12月25日

カフェの時間割(その1)

カフェをオープンする前の1日のタイムスケジュールについては、以前、「『自由業』の時間割」と題して記した。あのころは呑気だった。カフェ開業という大きな目標はあったが、その日にしなければならないことが決まっているわけではない。好きな時間に休み、何だったら「早仕舞い」することもできた。 

ストーブ
この季節、朝起きてすぐに客席のストーブを点けるのも日課だ。


それに対してカフェをオープンしてからは、営業時間がきっちり決まっている。午前
7時から午後6時(ラストオーダーは午後5時半)である。11時間ある。これは長い。夫婦ふたりで朝7時開店、夕方6時までやっているというと、たいていの人が「長いですね」という。自分でも長いと思うが、朝が早いこの地方に合わせてモーニングサービスを開始し、夕方、早めの帰宅をしようとする人がちょっと寄れる時間まで営業するとなるとどうしてもこうなる。 

  

というわけで、わたしたちは朝5時起きである。そこから開店までのわたしのタイムスケジュールはきっちり決まっている。 

510 コーヒーを淹れる。 

520 ふたりでコーヒーを飲む。 

530 朝食の準備。 

540 朝食。 

550 かたづけ。 

600 着替え・洗面。 

630 開店準備(レジの用意、テーブル拭き、玄関掃除など)。 

700 開店。 

ここから1000まではモーニングサービスのお客さんへの対応となるが、途中、コメに混ぜる十六穀を水に浸けたり、炊飯をしたりするのは私の役目である。妻はその間、モーニングサービスの調理に中断されながらランチの仕込みに猫の手も借りたい状態だ。 

  

そして1130からランチタイムとなる。日によっては、11時すぎから席でランチを待っているお客さんもいる。ここから1330ころまでは戦争状態だ。わたしは接客、配膳・かたづけ、飲み物の製作、会計に追われる。こういうときは、まさに11秒が惜しい。わたしはもともと「せっかち」の「のんびり屋」だが、そんなことは言っていられない。コーヒーが蒸れるまでの30秒で砂糖とクリームを整えてテーブルに届ける。紅茶を淹れている3分でお客さんが帰ったテーブルをかたづける。つねに手足と頭をフル回転だ。 

  

その間、厨房の妻はわたし以上に大車輪だ。7卓しかないカフェで注文票が6枚も並ぶこともあるが、妻はひとつずつ迅速かつ着実にこなしていく。そこは「段取りの人」。わたしは絶対の信頼を置いている。1300をすぎ、ランチ客の波が引いていくころになると、やっと一息つける。わたしは厨房に顔を出し、わたしたちはこの日初めての「お疲れさま」を言い合う。わたしがつくったアイスコーヒーで乾杯するのが日課だ。しかし、まだ一日の後半戦が残っている。 



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