瀬戸内暮らし

2018年06月18日

小堀さらえ

小堀さらえさん。ご近所に住む御年82のおばあちゃんで……というのはウソ。小堀さらえとは、前にも書いた町内の用水路の清掃作業のことである。田植えを前に町内の田んぼの用水路を町内会のみんなで掃除する。このイベントは、「カフェ明治屋」のご近所だけではないようで、前に内装工事の見積もりに来た業者さんが岡山市内でも同じような作業をすると言っていた。その人は、周りはみんな年寄りなので50代の自分が一番働かされるとぼやいていた。 

小堀さらえ
小堀さらえスタート地点。ご近所のSさんが作業開始。


今年もその「小堀さらえ」の季節がやってきた。
6月初旬の日曜日、朝8時から開始である。「カフェ明治屋」は通常7時開店なので、この日は事前に告知をして9時開店にした。お客さんには申し訳ないが、ここでは町内会の行事優先である。 

  

服装・装備は去年と同じ。履き古したジーンズに汚れても構わないTシャツ、長靴に軍手で手にはホームセンターで購入した側溝清掃専用のシャベル。去年は8時に行ったらもう作業が始まっていたので、今年は早めに7時半過ぎに家を出る。わたしが一番乗りだったが、すぐにご近所さんが続々と集まってくる。 

  

側溝は清掃区間の半分以上が干上がっていたが、底に泥や石が溜まっている。それをシャベルや鍬を使って掻き出していく。側溝の両側に足を広げ、前かがみになる作業は腰に響く。たびたび腰を伸ばしながら作業を進める。途中からは側溝に水が溜まったエリア。作業をしていると、メダカやカエルが逃げ惑う。メダカのなかには、あわてて水から飛び跳ね、土の上でじたばたするものも出る始末だ。何とか泥を掻き出し、小一時間の作業で今年の小堀さらえは終了した。 

  

作業終了後は、集会所の前で缶ジュースか何かでみんなで一息入れるのだろうが、わたしは「お店の開店があるので」と一足先に失礼した。これで近いうちに田植えとなるのだろう。稲が青々と育つ風景は、去年、散歩の際によく見かけたが、何とも心豊かになる。今年も微力ながらそのお手伝いができたことでほっとした。 



y1_tokita at 14:47|PermalinkComments(0)

2018年06月13日

朋あり遠方より来たる(その2)

昔からの友人知人が遠路はるばる「カフェ明治屋」を訪れてくれることは前にも書いた通りだ。先日は妻の元同僚で神奈川県に住むSさんが休暇を利用して来てくれた。 

  

その日は「カフェ明治屋」の定休日だったので、わたしと妻は、朝の新幹線に乗ったSさんを迎えに岡山駅へ。無事に落ち合い、わたしのクルマを停めてあるイオンモール岡山の「倉式珈琲店」で一休み。「倉式珈琲店」はサンマルクがやっている本格的なコーヒー専門店で、サイフォンで1杯ずつ淹れる。わたしは「本日のストレートコーヒー」(マンデリン)を注文したが、小ぶりなサイフォン(フラスコ)にたっぷり入ったコーヒーが供された。2杯分弱はある。味も満足のいくものだった。これで370円(税込み399円)は安い。 

家島
宙に浮かんで見える家島。幻想的だ。


それはともかく、そろそろ時分どきとなったので、ランチを予約してある牛窓の「ロッサ カフェ&レストラン」へ約
1時間のドライブ。「ロッサ」はイタリアンレストランといった趣の人気店で、「カフェ明治屋」の開店間もないころにお客さんに教えられた店だ。平日のこの日も満員だった。わたしたちは前菜つきのランチ3種(パスタ2種とピザ)を注文し、シェアした。パスタもピザもおいしかったが、ここの前菜の盛り合わせに感心した。小ぶりなカップに注がれた冷製スープやミニサラダに加え、コロッケ、チーズ、ハムなどが彩りよく配されている。インスタ映えするし、何よりおいしい。参考にはなるが、真似はできない。 

瀬戸内の海
遠くに見えるのは、おそらく四国の山並みだと思う。

お腹がいっぱいになったところで、お決まりの「牛窓オリーブ園」へ。駐車場から短いけれど急な坂道を上るので食後の腹ごなしになる(?)。この日は天気も良く、空気が澄んでいたので広場や展望台からの眺めが素晴らしかった。ここからの景色は何度見ても飽きない。この日は宙に浮いたように錯覚させる家島や遠くに霞んだ四国の山並みが望めた。あー、ここに家を建てて住みたい。
 

  

オリーブ園からの景色を堪能したところで、もう1カ所、景色のいい場所、「珈琲 べるま~ど」へ。牛窓の海と山、小豆島などを眺めながらおいしいコーヒーをいただく。カフェの1年先輩でいろいろとお世話になっているご主人から、この日も牛窓の情報を教えてもらう。 

  

その日、Sさんはうちに泊まって翌日はアートの島「直島」へ向かった。直島へのフェリーは玉野市の宇野港から出ている。わたしたちも、「たまの湯」に浸かろうという魂胆で宇野港までクルマで送っていった。Sさんが妻に送ってくれたLINEよると、草間彌生の「赤カボチャ」を観たり、カフェでおいしいランチをいただいたりしたそうだ。翌日には高知で本場のカツオのたたきを食べるという。うらやましい。 

  

来年(2019年)には直島をはじめ一帯の島々で3年に一度の「瀬戸内国際芸術祭」が開かれる。わたしたちも、ぜひ、行ってみたい。


y1_tokita at 08:15|PermalinkComments(0)

2018年06月03日

雨もまた楽し

ある定休日、岡山市内に用があったついでに岡山県立美術館を訪ねた。この日は朝から雨で、自然の中に向かうには不向き。ゆっくり美術鑑賞をしようというわけだ。美術館は移住してわりとすぐに瀬戸内市立美術館を訪れて以来である。 

  

岡山県立美術館は、いまから30年前の1988年に瀬戸大橋、岡山空港とともに岡山県の大型プロジェクトのひとつとして開館したそうだ。わたしたちが行ったときには開館30周年記念展「県美コネクション」という展示をやっていた。ジャンルを問わず、岡山県にゆかりのある作家の作品を広く展示していた。 

  

わたしがとくに心惹かれたのは浦上春琴の僊山清暁図」である。春琴は江戸時代後期の文人画家で、備前岡山城下に生まれた。「僊山清暁図」はその最晩年の作で、理想郷ともいえる風景が細かなところまで描かれているが、まったくうるさくなく、全体としてのまとまりが素晴らしい。ずっと眺めていたくなる絵だ。 

カフェmoyau
「カフェmoyau」の入口は渋い。店内はもっと渋い。


目の保養のあとは舌の保養。岡山市内のカフェを検索すると、わりと上位に「
moyau」というカフェが出てくる。古民家っぽい外観に興味がわいたので、この日、ランチに寄ってみた。場所は、岡山後楽園から旭川を挟んだ対岸だ。古い倉庫を改装した店だそうで、2階は畳敷き。冬にはコタツになるそうだ。わたしたちは1階の図書室のようなスペースの川を望むカウンター席に腰を下ろした。ランチに私が注文したのはガパオ。適度にピリ辛でおいしかった。妻は日替わりご飯。野菜を使った小鉢が並んだ女性受けしそうなランチだ。 

  

わたしたちは雨の落ちる旭川を眺めながら、しばしのんびりした。東京にいたころも、雨の日は映画館や美術館に出向いたものだ。「晴れの国」に移住したけれど、たまには雨もまた良し。 

  

  

このブログも、おかげさまで今回で100回になりました。ご愛読ありがとうございます。これまでは、東京から岡山・瀬戸内市に移住し、カフェを開業する経緯を中心に綴ってきました。これからも、カフェの裏話や瀬戸内での暮らしを気の向くままに、より不定期に書いていきたいと思います。よろしければときどき寄ってみてください。 



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2018年05月30日

町屋喫茶と水辺のカフェ

前回に続き倉敷を楽しむ話。倉敷・美観地区に「三宅商店」という人気のカフェがある。ある日、わたしたちが通りかかったときにはちょうど開店の時間だったが、すでに待っているお客さんが何人もいた。わたしたちも入ってみる。少し早めのランチタイムだ。 

  

ここのランチは三宅カレー1種類。潔くてよい。季節の野菜をたっぷり使い、ほどよくスパイスを効かせたカレーで、ご飯は玄米。わたしたちは、スープ、浅漬け、ミニデザートとコーヒーまたは紅茶がついたセットでいただいた。 

  

この「町家喫茶 三宅商店」の建物は江戸時代後期に建てられた町屋で、奥に長く土間が続き、蔵を備えている。土壁をそのまま生かした内装が時代を感じさせる。 

三宅商店酒津
「水辺のカフェ 三宅商店 酒津」。ほっこりできる空間だ。


倉敷に「三宅商店」がもう
1店あることは知っていたが、行く機会がないままになっていた。そんなある日、倉敷「酒津公園」に花見に行った折、お茶をして帰ろうかとネットで調べてみると、すぐ近くに「水辺のカフェ 三宅商店 酒津」があることがわかった。さっそく行ってみた。 

  

「酒津公園」の桜並木を抜けたあたり、用水路と思しき流れに面してその店はあった。民家を改装したと思われる一軒家で、2階席もある。わたしたちは、水路に面した縁側の席に通された。用水路のゆったりした流れ、土手の桜がそよ風に揺れる様。何と贅沢な時間だろう。 

三宅商店酒津縁側
桜を眺めながらケーキセット。何とも言えない時間だった。


「本日の手作りケーキセット」をいただき、大満足で帰宅したのだが、家に帰って妻が店にキャップを忘れてきたことに気づいた。電話してみると、妻のキャップは取り置いてあるという。仕方がない。翌週も倉敷まで足を延ばし、忘れ物を引き取りがてらカレーランチのセットをいただいた。
 

  

「仕方がない」と言いながら、いそいそと出かけていくのは、やはり倉敷だからである。 



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2018年05月26日

倉敷は楽しい

わたしたち夫婦は倉敷が好きだ。とくに「美観地区」と呼ばれるエリアには何度も足を運んでいる。倉敷・美観地区については前にも書いた。運河の周りに古い屋敷や蔵が並び、優美な丸瓦の甍が連なっている。家々の漆喰壁が美しい。散策するもよし、カフェでお茶するもよし。いつ行っても楽しめる場所である。 

大橋家住宅
「大橋家住宅」の入口。趣がある。


先日は「美観地区」近くの「大橋家住宅」を訪ねてみた。「大橋家住宅」は倉敷町屋の典型的な建物で、寛政
8年(1796年)~11年(1799年)の建築だから、築200年以上になる。大橋家はこの地方で水田・塩田を開発して大地主となり、かたわらで金融業を営んで財を成した。苗字帯刀も許されていたという。 

  

建物のつくりは、街道に面して長屋を建て、その内側に前庭を隔てた主屋を配置している。主要な出入り口がその長屋を貫くようにつくられているため、「長屋門」と呼ばれるそうだ。わたしたちも長屋門から前庭を抜けて主屋に入る。入ってすぐにあるのは土間と店の間である。広い土間にはかつて、大量の米俵が積み上げられたのだろう。店の間の奥は台所。ここにも裏庭に出てすぐのところにある井戸と連携して広い土間があり使いやすそうだ。 

  

妻は、5基並んだ竈(かまど)の火口が土間側からでなく上がった台所から操作できるようになっていることに感心していた。妻が竈に興味を持つのには訳がある。何しろ、小中学生のころに家の風呂係で、風呂を薪で焚いていたそうだ。いまでもキャンプのときの火おこしや調節は妻の係。「焚火奉行」である。 

  

わたしが「大橋家住宅」で一番心惹かれたのは書斎だ。中庭を望む配置で孤立しており、部屋の両側が外に開けている。風通しがよさそうで、夏に昼寝(読書ではなく?)をするのにうってつけだ。 

  

「大橋家住宅」は、全体につくりが贅沢だが、派手に飾るのではなく合理的にできている。商家の思想を体現したものといえそうだ。ひるがえって「カフェ明治屋」。こちらも昔から商いをしていた民家で100年以上持っている。優美な「大橋家住宅」のつくりとは異なる質実剛健。これからも、できるだけ手入れをして長く持たせたいと思う。 



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