瀬戸内暮らし

2017年08月22日

瀬戸の夕凪、夏祭り

瀬戸内は緯度からいっても東京より南だし、東京より涼しいとは思っていなかったが、想像していた以上に夏が暑い。冷夏の東京と比べたら、今年はとくにそうかもしれない。これには瀬戸内の地形も影響しているらしい。夕方から夜にかけて陸風と海風が相殺し、「瀬戸の夕凪」といわれる無風状態になる。これが暑い。 

  

寺田寅彦が夕凪について、「空気がゼラチンか何かのように凝固したという気がする。・・・じっとしていると気がちがいそうな鬱陶しさである」(「夕凪と夕風」)と記したのもよくわかる。 

牛窓の花火
「牛窓花火大会」のクライマックス。妻が録画した下の動画も観てほしい。

 そんな瀬戸内の夏にも、蒸し暑さを晴らす祭りはやってくる。移住したばかりのわたしたちは、地元の祭りにはなるべく出かけてみることにした。まず出向いたのは、前にも紹介した牛窓で行われた「牛窓花火大会」。港の堤防から約2,000発の花火が打ち上げられた。地方の花火大会の一番の良さは、間近に見られることだろう。わたしたちは桟橋のほぼ突端に陣取り、目の前で繰り広げられる花火のショーを観賞した。見た目の美しさだけでなく、地響きのような爆発音が迫力満点だった。 


長船夏祭り
「長船夏祭り」には地元の人たちによる屋台も。

バンド演奏
懐かしいグループサウンズの演奏があったり・・・
盆踊り

盆踊りで盛り上がったり・・・ 

  

地元も地元、わが長船町で行われたのは「長船夏祭り」。これは途絶えていた夏祭りを20代の有志が2014年に12年ぶりに復活したもので、以後、毎年開かれている。当日は盆踊りを始め和太鼓の演奏や地元有志による屋台などもあり、家族連れや中高生など、比較的若い層が集まって賑わっていた。復活したこの夏祭りが、長船の年中行事として定着するにはまだ年月がかかるかもしれない。しかし、若い人たちが地元の振興のために汗を流しているのが心強かった。 

  

わたしが親しくさせていただいているN教授(カナダ・バンクーバー在住)は少年時代の大半を瀬戸内で過ごした方で、最近のお便りには「瀬戸の夕凪は暑いでしょう」と繰り返し書いてこられる。N先生、瀬戸内の夏は暑うございますが、楽しく過ごしております! 



y1_tokita at 11:59|PermalinkComments(0)

2017年08月17日

本家「福岡」の朝市

「カフェ 明治屋」がある瀬戸内市長船町は、人によっては「備前長船」(びぜんおさふね)といったほうが通りがいいかもしれない。「備前長船」とは、かつてこの地で生み出された日本刀の総称にしてその産地名もあらわす。 

  

この一帯の歴史は古く、一千年の歴史をもつといわれる備前焼の窯元群も近い。中世には、備前福岡(現在の長船町福岡)は「山陽道で第一級の都市」といわれるほど栄え、「中世福岡の市」はおおいににぎわったという(一文字うどんのウェブページ)。 

  

ちなみに、九州の福岡は、その地を治めることになった黒田長政が、黒田家の礎の地であった備前福岡から取り名付けたといわれている(瀬戸内Finderのウェブページ)。 

  

その本家「福岡」で、月に1回、「備前福岡の市」が開かれている。この「市」のことは、東京にいるころ訪れた「移住相談会」でも聞いており、ぜひ行ってみたいと思っていたが、月に1回の日にちをいつもうっかりしていて、このたびやっと顔を出すことができた。 

福岡の市
地元の人たちによる「手作り感」がいい。


「市」の会場は「カフェ 明治屋」からは歩いて
20分ほどである。開始時間の朝8時を少し回ったころに会場に着くと、すでに多くの人でにぎわっていた。岡山市内や遠く県外からの来場者もあるという。 

福岡の市野菜
産直の野菜は人気がある。ナスもトマトもおいしかった。


さすがに日本刀はなかったが、刀鍛冶が包丁研ぎをしていたり、地元「名刀味噌」(店はわが町内)の販売ブースがあったりする。この手のマーケットには欠かせない産直の野菜や天然酵母のパンなどもあった。買った飲食物は、会場内の席で食べられるようになっている。わたしたちもちょっと一息、レモンジュースで喉を潤し、ナスやトマト、ひしお味噌などを購入した。
 

  

10年前に始めたときには「売り子のほうがお客さんの数より多かった」そうだが、地元に密着した手づくりの「市」は、いまやすっかり根づいているようだ。わたしたちも、いつの日か、この市に「カフェ 明治屋」としてブースを構え、コーヒーやケーキを提供するようになるのだろうか。まだ開店してもいないのに妄想ばかりが広がるのだった。 



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2017年07月10日

倉敷 瓦と白壁の街

移住当初から妻が行きたいといっていた倉敷を訪ねた。「カフェ 明治屋」からはクルマで約1時間、ドライブにちょうどよい距離である。 

  

倉敷は、妻は初めてだが、わたしは30年ほど前、当時勤めていた出版社の出張のついでに観光をした覚えがある(もう時効ということにしよう)。しかし、30年という年月のせいか、わたしの記憶力が乏しいせいか、ほとんどまったく覚えておらず、すべてが新鮮だった。 

倉敷美観地区
倉敷美観地区は運河沿いに蔵などが並ぶ。この日はすいていたが、週末には多くの人でにぎわう。

倉敷物語館

美観地区の入り口にある「倉敷物語館」。江戸時代の建物だが、とてもきれいにしてある。理想の古民家だ。 

  

倉敷といえば有名なのは大原美術館がある倉敷美観地区だろう。わたしたちも美観地区の駐車場にクルマを入れ、歩いて見て回った。運河に沿って建てられた屋敷や蔵が美しい。古民家に移住したせいで見るところが違ってきたのか、ついつい、家並みの瓦の種類や漆喰壁の仕上がりに目が行く。  

倉敷・小道
美観地区の脇道。時代劇のセットのようだ。

倉敷・証券会社

本葺瓦の屋根と漆喰壁が美しい建物。じつはこれが証券会社の社屋だ。 

カフェ・エルグレコ
大原美術館の隣にある「カフェ エル・グレコ」。わたしたちはここでコーヒー・ブレーク。

倉敷館

倉敷には洋風の建物もある。写真は倉敷町役場として建てられた倉敷館。いまは観光案内所だ。 

倉敷・ポスト
美観地区にある黒い「書状集箱」。郵便ポストとして今も現役だ。


同じ歴史的建造物の保存地区でも、以前紹介した勝山と違って倉敷では本葺瓦の建物が多い。本葺瓦とは、
丸瓦と平瓦を組み合わせたもので、寺院やお城などに多く使用されているもの。「カフェ 明治屋」も本葺瓦なので、たいへん親しみがもてる。また、倉敷の建物群は漆喰壁がとても立派で、漆喰の美しさにあらためて魅了された。

倉敷・人力車
美観地区のメインストリートから外れた通りでは人力車がお客さんを案内していた。


「カフェ
 明治屋」の改装は、いよいよ山場の漆喰壁塗りにさしかかろうとしている。倉敷美観地区の美しい建物群には遠く及ばないが、わたしたちも何とか「カフェ 明治屋」をよみがえらせ、「美観」に一歩でも近づけたいものだ。



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2017年07月06日

エーゲ海は初夏の輝き

今回のタイトルを見て、ブログを間違えたと思われた方もいらっしゃるかもしれないが、そうではない。「カフェ 明治屋」からクルマで約20分、同じ瀬戸内市内の牛窓は「日本のエーゲ海」と呼ばれている。最初にこの話を聞いたときには「この命名はどうかな?」と思ったが、実際に行ってみると、エーゲ海の名に恥じない、とても美しいところである。 

牛窓オリーブ園
牛窓オリーブ園の展望台から。右に見えるのが前島と小豆島。

オリーブの花
オリーブは初夏に白く可憐な花を咲かせる。 

    

最初に牛窓を訪れたのは、家さがしの途中だった。牛窓オリーブ園から瀬戸内海の島々を眺めながら、こんな景色のところ(の近く)に住みたいね、と夫婦で話し合ったものだ。そして、それはほぼ実現した。当然、移住してからも、牛窓には何度も遊びに行っている。牛窓では、やはりオリーブ園がいい。山ひとつがオリーブ畑になっており、頂上の広場からは前島や小豆島などが見渡せる。ここのベンチで穏やかな瀬戸内海をボーっと眺めているのが、わたしは大好きだ。 

てれやカフェ
「てれやカフェ」は外観からして親しみがわく。


牛窓にはユニークなお店やカフェも多い。そのなかからいくつかを紹介しよう。まずは気になるカフェから。牛窓のメインストリート沿いにある「てれやカフェ」は、古民家を改造した素朴なカフェだ。今風にきれいにすることにお金をかけない、という店主さんの姿勢が見て取れる。失礼ながら、わたしたちでもカフェができるかも、と思わせてくれたカフェである。カレーがおいしかった。
 

フォルツァ・カフェ
「フォルツァカフェ」は2階が客席。海の眺めがすばらしい。

県道から迷路のような細い道を登ったところにある「フォルツァカフェ」は、しゃれたレストラン風のカフェ。テラス席からは牛窓の砂浜と海が見渡せる。わたしたちは、ここで十六雑穀米ランチとパスタランチをいただいた。ランチはほかにもいろいろあり、女性やカップルに人気だった。
 

ひとつ工房
「ひとつ工房」は靴を脱いで上がる小さなパン屋さんだ。

おいしいパン屋さんもある。牛窓の丘の上の住宅街にある「ひとつ工房」は、とても小さなパン屋だが、食パンの種類が多く、どれもおいしそうなので、ひとつひとつ試してみたくなる。
 

匙屋
「匙屋」さんは2階が店舗。中は立派な古民家だ。

ちょっと変わったところでは、手作りのスプーンやトレーを製造・販売している「匙屋」という店がある。サラリーマンを経て工芸家になったご店主が、東京・国立にあった店をたたんでこの地に移ってきたそうだ。木彫りのスプーンは、どれも世界に二つとないもの。赤ちゃん用などもある。どれも軽く温かみがあって使いやすそうだ。
 

  

梅雨の晴れ間。牛窓の海はさざ波をきらきらと輝かせていることだろう。あー、きょうも牛窓に出かけたい! 


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2017年06月11日

瀬戸内・魚の王国

こちらに来て感じたことのひとつが、東京に比べ、やはり物価が安いということである。公共料金やガソリンの値段などは変わらないが、たとえば、洗車料金は安いところでは200円だ。トマト、きゅうり、レタスや玉ねぎなどの野菜を中心に生鮮食料品も全般に安いようだ。 

  

スーパーマーケットでもそうだし、あちこちにある農協の農産物直売所では、採れたての野菜や果物などをかなりお安く販売している。ただ、難点(?)は「量が多い」こと。クレソンが大袋いっぱいに入って200円だったので飛びついたら、それから23日は、毎日、山盛りのクレソンサラダを食べる羽目になった。 

  

そして、瀬戸内といえばやはり魚介類である。スーパーマーケットでも、地物の「がらえび」や「びんぐし」など、東京ではあまり見ないものを普通に売っている。東京では見ないといえば、漁港直結の魚市がある。わたしたちが住む瀬戸内市のお隣・備前市の伊里漁協では、毎週日曜日に「真魚市(まないち)」という市が立つ。先日、わたしたちもさっそく行ってみた。開始時間が朝7時とはじまりの早い市で、わたしたちが着いた8時過ぎにはすでに多くの人でにぎわっていた。 

真魚市01
漁港の隣りの倉庫のようなところが市場会場になる。


活気のある市場は、見て回るだけで楽しい。とくに漁港直結のこの市場では、バックヤードで漁船から魚を荷揚げしていたり、敷き詰めた氷の上に次から次に魚を放ったり、漁師さんたちの働きぶりが間近に見られて興味が尽きなかった。
 

真魚市04
停泊した漁船からつぎつぎに魚が出荷される。


ただ、ここでも問題は「ひと盛りの量の多さ」で、まだカフェを開店していないわたしたちが、二人で食べきれる量のものを探すのに苦労した。結局、型の良いイカ
4杯を1,000円で購入したが、23日は「イカ尽くし」になりそうだ。 

真魚市02
結構な型のブリが1本1,000円。

真魚市03

アジやサバもこれだけ入って1,000円。安いが二人では食べきれない。 

真魚市05
地物の小松菜100円。ねぎ50円・・・野菜も安い。 

  

【側溝清掃・顛末記】   

前のブログで「どうなることやら」と書いた町内会の側溝清掃が、なんとか終わった。用意する物は「ふつうの長靴とショベルか何かでいいよ」と言われていたが、側溝清掃専用の道具をホームセンターで購入して、その日を迎えた。集合時刻の朝8時前、集会所に行ってみると、すでに近くの側溝から「ガッシ、ガッシ」と作業をする音がする。挨拶も早々に、わたしも清掃作業に加わった。側溝(田んぼと道路の間の用水路)にまたがって中の泥やごみを掻き出していく。 

側溝清掃
側溝清掃は慣れないと腰にくる作業だ。


小一時間で予定の区画の清掃が終了。日陰ではまだひんやりとする季節なのに汗だくになる。屈む作業なので腰も限界だった。全員で集会所に集まり、一息入れて解散となったが、この席で、町内会長から「新規加入者」として紹介された。そう、これが大事。一緒に作業をした「仲間」として、まずは認められた(?)ということか。ありがたい。近いうちに、田んぼには水が張られ田植えとなるだろう。散歩のたびに稲が青々と育っていく姿を眺められるのなら、汗をかいた甲斐もあるというものだ。
 



y1_tokita at 18:22|PermalinkComments(0)TrackBack(0)