瀬戸内暮らし

2017年10月01日

日ごとに深まる秋

つい1か月前までは猛暑にうんざりしていたのに、このところ急に気温が下がってきた。とくに朝は肌寒いくらいである。ひとつには、わたしたちが起床時間を6時から5時に変えたことも影響している。「カフェ 明治屋」は朝7時に開店する予定なので、6時起きでは間に合わない。そこで今のうちから5時起きに慣れておこうというわけだ。 

吉井川親水公園
散歩でよく行く吉井川親水広場の景色も秋めいてきた。


ある朝、目覚めるとあたりは一面、濃い霧に覆われていた。向かいのお寺の方が教えてくれたが、このあたりでは秋から冬にかけて、朝に霧が立ち込めることがあるそうだ。幻想的だがクルマの運転には危険なほどの濃い霧だ。
 

霧に煙る明治屋
霧に煙る干田川と「カフェ 明治屋」。


散歩の時間も
1時間早まった。そのぶん、朝の空気の清らかさも増したように感じる。足もとの草の朝露は、盛夏に比べて水滴を大きくしたようだ。家々の庭先では柿や栗が実をつけ、なかにはすでに地面に落ちてしまったものもある。田んぼのなかの農道を歩くと、一面の稲が首を垂れ始めている。田植えの少し前、4月末に移住して5カ月、季節は収穫の秋を迎えた。早いものだ。 

路地の水滴02
朝露が日を浴びて光り輝いていた。

首を垂れる稲

稲穂が風に揺れる田んぼ。稲刈りも遠くない。 

柿の実

西条柿がなっていた。中国地方に多い渋柿で側面の溝が特徴。

栗の実

実のなる木を植えている家が多い。この栗も食べごろだ。 

散歩道の虹

雨上がりの散歩道。かすかに虹が出ていた。 

  

東京で勤め人をしていたころには、これほど季節を感じることはなかった。せいぜい、通勤電車の窓からたまに見える木々の色や花々に、ささやかに季節を知る程度だった。いまは、少々大げさな言い方をすれば五感で季節を感じられる。これは地方に住んでみなければわからないことだと思う。     

  

ただ、この贅沢な朝の散歩も今のうちだけだ。カフェがオープンしたら、起床から開店までは準備で大わらわになるだろう。オープンが待ち遠しいような、一方で、もう少し今の生活を続けていたいような複雑な心境である。 



y1_tokita at 17:55|PermalinkComments(1)

2017年09月06日

キャンプの神様(その2)

今年もキャンプに行ってきた。さすがに岡山から長野の戸隠キャンプ場まで行くのは遠すぎるから、県内で探し、蒜山高原キャンプ場にした。蒜山高原は、県北・真庭市にある標高500メートルほどの国立公園で、蒜山三座を望む大草原が広がっている。 

  

蒜山高原キャンプ場は、それなりにあちこちのキャンプ場を知っているわたしから見ても、とても整備が行き届いているところだった。各区画には余裕の駐車スペースと真っ平らにならされた広いテントサイトがあり、トイレ棟(もちろん水洗)や炊事棟も立派なものが適宜配置されている。全般にメンテナンスがとてもいい。 

キャンプサイト
テントサイトの朝。奥のドームテントが寝室、手前のタープの下が生活の場。


わたしたちは、雑木林に隣接したサイトを指定され、さっそくテントを設営した。天気は晴れから曇りに。設営時に天気がもってくれたのはありがたい。設営が終わったらコーヒーを淹れ、タープ(生活の場用の広いテント)の下でチェアに腰かけ一息。「キャンプに来てよかった」とまず思うひとときである。
 

  

しかし、その夜から翌日にかけては、本降りの雨となった。雨もまた自然現象、と受け入れるしかないが、年季の入ったタープが雨漏りを起こし、全身が結構濡れてしまったのは誤算だった。タープには、しばらく前に撥水スプレーをかけておいたのだが、もう効かなくなってしまったようだ。買い替え時だ。 

  

そんなアクシデントがありながらも、今回もキャンプを満喫できた。森のなか、大地に直接足をつけて暮らす。空は夏空。気温は暑くもなく寒くもなくちょうどいい。そして、キャンプの醍醐味は何といってもバーベキューと焚火だ。バーベキューでは、わが家の定番はスペアリブとラムチョップなのだが、今回はラムチョップが手に入らず、タンを塩で食べた。いつも思うが、自然のなかで食べるとなぜこんなにおいしいのだろう。 

  

焚火はキャンプのメインイベントだ。これをやるためにキャンプに行くという人もいるくらいだが、わたしたちは、少なくとも焚火をしたくなる気温の場所へわざわざ行く、とはいえるだろう。火を見ながらボーっとしているだけで心が落ち着く。ヒトが何万年前から火を使うようになったのか知らないが、おそらくそのころに培われた本能なのだろう。 

ジャージー牛
キャンプ場近くの「ひるぜんジャージーランド」では牛と触れ合える。この牛には「イモト」と命名。


今回のキャンプでの一番の心配事は、撤収日の天気だった。撤収の日に雨に降られると、テントやタープなどを濡れたままクルマに積み、後日、広げて干さなければならなくなる。ヘタをすると、クルマのなかがカビだらけになる(わたしにはその経験がある)。当日の予報は雨だったが、おおむね曇り、撤収が終わるころには日が射していた。キャンプの神様は、今回も微笑んでくれた(帰ってきてみたらブヨに刺されていたというオマケは付いたが)。  



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2017年09月01日

キャンプの神様(その1)

前回も書いたが、キャンプが好きだ。わたしは東京で書籍や雑誌の編集の仕事をしてきたが、一時はキャンプ情報誌(あるいはウェブサイト)を創刊してキャンプ場めぐりを仕事にしようかと思っていたくらいである。 

  

最初のキャンプはよく覚えている。結婚前の20代半ばで小学2年生の甥っ子と暮らすことになったわたしは、何とか夏休みの楽しい思い出を甥っ子につくらせてあげたかった。しかし、サイフに余裕はない。そこで安上がりなレジャーとしてキャンプはどうかと考えた。クルマで行くから、たいていの物は日ごろ使っているものを積んでいけばいい。 

  

当時、埼玉県与野市(現在のさいたま市中央区)に住んでいたわたしと母、姉、甥は、自宅から比較的近い秩父の浦山渓谷キャンプ場(現在は近くで浦山清流キャンプ場が営業中)に出かけた。三角屋根の小さなバンガローを借り、電池式のランタンをレンタルして、火は持参したカセットフーだ。それでも楽しいキャンプだった。 

  

何といっても圧巻はバーベキュー。川の中州で焚火をおこし、炭火にすることもせずにそのままの火で肉や野菜を焼いて食べた。それがうまかった。こんなにおいしいものがあるのか、と思ったほどだ。 

  

それからは、どれほどキャンプに行っただろうか。夏はもちろん、ゴールデンウィークや秋の連休などにもよく出かけた。キャンプ道具も少しずつそろえた。テントはレンタルしたものを持っていったりしていたが、自分のものがほしくなり、ドーム型テントを購入した。ストーブ(調理用の火)とランタンはガソリン式のものをそろえ、少しずつ使い方に慣れた。 

戸隠キャンプ場
「戸隠キャンプ場」の朝。正面の戸隠山に朝日が当たる。


長野・戸隠の村営キャンプ場(現在は長野市戸隠キャンプ場)を最初に訪れたのはそのころだったと思う。当時は上信越道が未開通で、国道を佐久、上田と進み、長野市からは七曲りの急坂を上ってたどり着いた。牧場に隣接したキャンプサイトは広々として快適で、自然とわたしたち(結婚してからは妻を加えて5人)の行きつけのキャンプ場になった。 

  

そんな私の経験を知って、「キャンプのやり方を教えてください」という人がいる。よろこんで一緒にキャンプをするけれど、キャンプの「やり方」は人に教わるほどのものではないと思う。道具がなくても、日用品を代用すればいい。足りないものは自分たちで考えて工夫すればいい。何よりも木々に囲まれて憩うこと、大地の上に寝ること、満天の星を見上げること・・・自然のなかで暮らすことを楽しむことである。キャンプの神様はいつも微笑んでいる。 



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2017年08月27日

おやじ会デビュー

移住当初から、バーベキューに誘われていた。これは町内会有志によるものだが、なぜか参加するのは男性だけらしい。しかも若い人は加わらないらしく、いわば「おやじの会」である。もちろん断る理由はない、というより、少しでも繋がりを広げておきたいので、よろこんで参加した。 

  

わたしたち夫婦は、結婚当初からゴールデンウィークや夏休みによくオートキャンプに出かけてきた。キャンプ場では必ずバーベキューをする。だから、回数はともかくバーベキュー歴は長い。それを知っている友人知人から誘われて一緒にバーベキューをしたことも何度かあったが、たいていは家族ぐるみや友人グループでの集まりであり、ご近所さん、しかも男だけの会というのは初めてである。 

  

当日は夕方5時すぎからぽつぽつと人が集まり、総勢十数人。まめに準備をする人あり、豪快に火をおこす人あり、焼きに専念する人あり・・・。わたしはもっぱら食べる役にまわった。話題はおもに各人の近況やご近所、地域のことで、わたしにはカフェ開業準備の進みぐあいを聞いてくる人が多かった。会の全員と顔見知りとなり、また少しだけ地域に溶け込めた気がする。 

バーベキュー
世間話に花が咲く、バーベキュー大会。


驚いたことが一つ。その場である人からカフェの開店時間を聞かれたので、「このあたりは朝が早いので
7時からモーニングサービスをやろうと思っています」と答えたところ、「7時じゃ遅い」と言われてしまった。「わたしは7時すぎから仕事だから、6時半には開店しとかんと」と言うのである。 

  

実際、6時半に開店している喫茶店が駅前にあり、その方はよく利用しているという。「一度、行ってみるといいよ」と言われたので、後日、その喫茶店Kに夫婦で行ってみた(さすがに6時半には行けず、着いたのは7時すぎだった)。店内は15席ほどで、お客さんはすべて中年以上の男性で和気あいあい。みな常連さんだと一目でわかる。妻とわたしは、はっきりいって浮いていた。 

  

こんな喫茶店もあるのか。おやじの井戸端会議。朝から「おやじ会」。これはこれで、地域密着の一形態だが、わたしたちがめざす店の形とは少し違う気がする。わたしは年齢的にも中身も「おやじ」だが、地元の「おやじ」様たちに完全に溶け込むには、まだまだ時間がかかりそうだ。 



y1_tokita at 15:29|PermalinkComments(0)

2017年08月22日

瀬戸の夕凪、夏祭り

瀬戸内は緯度からいっても東京より南だし、東京より涼しいとは思っていなかったが、想像していた以上に夏が暑い。冷夏の東京と比べたら、今年はとくにそうかもしれない。これには瀬戸内の地形も影響しているらしい。夕方から夜にかけて陸風と海風が相殺し、「瀬戸の夕凪」といわれる無風状態になる。これが暑い。 

  

寺田寅彦が夕凪について、「空気がゼラチンか何かのように凝固したという気がする。・・・じっとしていると気がちがいそうな鬱陶しさである」(「夕凪と夕風」)と記したのもよくわかる。 

牛窓の花火
「牛窓花火大会」のクライマックス。妻が録画した下の動画も観てほしい。

 そんな瀬戸内の夏にも、蒸し暑さを晴らす祭りはやってくる。移住したばかりのわたしたちは、地元の祭りにはなるべく出かけてみることにした。まず出向いたのは、前にも紹介した牛窓で行われた「牛窓花火大会」。港の堤防から約2,000発の花火が打ち上げられた。地方の花火大会の一番の良さは、間近に見られることだろう。わたしたちは桟橋のほぼ突端に陣取り、目の前で繰り広げられる花火のショーを観賞した。見た目の美しさだけでなく、地響きのような爆発音が迫力満点だった。 


長船夏祭り
「長船夏祭り」には地元の人たちによる屋台も。

バンド演奏
懐かしいグループサウンズの演奏があったり・・・
盆踊り

盆踊りで盛り上がったり・・・ 

  

地元も地元、わが長船町で行われたのは「長船夏祭り」。これは途絶えていた夏祭りを20代の有志が2014年に12年ぶりに復活したもので、以後、毎年開かれている。当日は盆踊りを始め和太鼓の演奏や地元有志による屋台などもあり、家族連れや中高生など、比較的若い層が集まって賑わっていた。復活したこの夏祭りが、長船の年中行事として定着するにはまだ年月がかかるかもしれない。しかし、若い人たちが地元の振興のために汗を流しているのが心強かった。 

  

わたしが親しくさせていただいているN教授(カナダ・バンクーバー在住)は少年時代の大半を瀬戸内で過ごした方で、最近のお便りには「瀬戸の夕凪は暑いでしょう」と繰り返し書いてこられる。N先生、瀬戸内の夏は暑うございますが、楽しく過ごしております! 



y1_tokita at 11:59|PermalinkComments(2)